がん免疫療法の自家がんワクチンについてご説明します。

がん免疫療法の歴史

自家がんワクチン

自家がんワクチンは、患者様自身のがん細胞をワクチン原料として使用するワクチンです。

患者様専用のワクチンになるため、遺伝子型は問題にならず検査も不要です。

患者様自身のがん細胞を、その方のためにワクチン原料として使用するのが「自家がんワクチン」です。ただし生きているがん細胞を患者様自身から完全無菌状態で大量に取り出すのは、意外にも技術的に困難でした。

そこで理化学研究所で開発されたのが、病理診断で余ったがん組織そのものを使用する方法です。がん組織は病理診断のために、必ずホルマリン漬けにしてがん細胞を殺し、さらにはパラフィンに埋め込まれブロックとされ、切片にされます。しかし、大部分のホルマリン固定がん組織は余り、この中にもがん抗原が大量に残っています。これを利用すると、患者様自身の体内では必ず正常組織とは異なりますので、非常に効率よく体内の免疫細胞を刺激できます。

特に自家がんワクチンは、何年前であろうと過去の手術にさかのぼって取り出したがん組織を原料に使用できるのが大きな特徴です。

いまでは「自家がんワクチン」といえば、このようなホルマリン固定がん組織を利用したワクチンのことを指すようになっています。

自家がんワクチンの特徴

長所

生のがん細胞も生のがん組織も不要です。そのため、昔(何年前でも)手術を受けたときのがん組織が(その中のがん細胞が完全に死んでいるホルマリン漬けの状態でも、パラフィンに埋め込まれたブロック状態でも)2グラム程度さえ残っていれば、いつでもワクチンが作れます。がん組織まるごと使いますから、その中に含まれていて、その患者様にだけにしかない未知のがんペプチドまでも、がんワクチンの成分として利用されます。また、がん細胞をとり囲んでいてがん細胞を支えている正常細胞群にのみ発現されている「がん抗原代替分子」さえも利用されるため、がんワクチンとしての能力が強化されています。
患者様本人に専用のワクチンですから、患者様の遺伝子型は問題にならず検査も不要です。

短所

がん組織2グラム程度では、がん抗原たんぱく質やがんペプチドの種類は全て含んでいても、一つ一つの種類の含有量が少ないという弱点があります。
がんペプチドワクチンと併用することで、種類は少なくとも量的不足を補えるため、自家がんワクチンと相補的な作用をすると期待できます。

お願い

がん患者様・ご家族様をはじめ一般の方々において、自家がんワクチンとがん抗原ペプチドワクチンは同じものと混同している方が多数おられます。自家がんワクチンは上述のように患者様ご自身の体の一部だったがん組織そのものが原料、がん抗原ペプチドワクチンは化学合成品が原料です。
どうか、“はっきりと違うものである”と機会あるごとに周囲の皆様にご説明のほどお願い申し上げます。なお、どちらも重篤な副作用はありません。ご安心下さい。

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