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第7回がんワクチン療法研究会から--5つの話題

22

Dec

 前回のトピックス-「第7回がんワクチン療法研究会が開催されました-- 神経膠芽腫で2例が完全寛解状態に」-の続きです。話題が5つあります。

 1) 金沢大・消化器内科(梶喜一郎先生他)から、肝がんの初回治療として手術を受けられた9例に対し、自家がんワクチン療法を施行した後の経過観察結果が報告されました。うち、無再発が5例、再発4例でしたが、死亡は1例のみだそうです。
 過去のデータと比較すると、生存曲線からは良い傾向が見て取れ、希望がもてる結果となっています。

 2) 聖隷佐倉市民病院(小池直人先生)から、「高エンドトキシン量の自家がんワクチンを安全に投与し得たIgA腎症合併胃がん術後の1例」について報告がありました。

 エンドトキシンは大腸菌に含まれる物質で、大腸菌がヒト大腸に常在しているにもかかわらず、血中に混入すると毒性を示すことが知られています。
 今回の報告によれば、ワクチン中のエンドトキシンが2,582単位もあっても、重篤な副作用は起きなかったとのことです。

 自家がんワクチン作製のためのがん組織は、必ず一度はホルマリン漬けにされています。がん組織中に混入したエンドトキシン自体もホルマリンで化学的に組織内で固定されてしまいますから、このように通常ならば毒性を示すはずの量のエンドトキシンが入っていても、実際は問題を起こさないと考えられます。
 なお、この方の免疫反応(DTH-2)テストの結果は、当初の免疫反応テスト(DTH-1)時点よりも強く陽性となったとのことです。

 3) JA尾道総合病院外科(倉西文仁先生)から、自家がんワクチン投与前後の血中のリンパ球(T細胞)の種類の変化について、発表がありました。

 血中リンパ球のT細胞には、がんを殺せる細胞性免疫反応を促進するヘルパー型のTh1細胞と、細胞性免疫反応にブレーキをかけるTreg細胞があります。

 今回は、再発可能性が高いという乳がん症例33例を対象として、自家がんワクチン療法前後の変化を分析しておりました。
 1コースの自家がんワクチン療法により、細胞性免疫反応がはっきりと観察された症例では、総白血球数が1.11倍、リンパ球数は1.09倍となり、いずれも学術的に証明された形で(統計学的にみて有意に)上昇していました。
 また、ヘルパー型のTh1細胞の数も増えていたことから、Th1/Treg比は17%も増加し、学術的にみても「自家がんワクチンは、患者様のがん免疫反応を強化する」ことが示されていました。

 4) 東京女子医大脳神経外科(村垣善浩先生)から、脳腫瘍(グレードIVの神経膠芽腫)に対する自家がんワクチン療法の多施設臨床研究について発表がありました。

 この臨床研究は、抗がん剤テモダールが本邦で承認される前にスタートしていましたので、自家がんワクチンはテモダールが投与されていない症例に対して、放射線治療終了直前に3回接種されています(放射線とは同時併用になります)。

 22症例に実施され、2回目の免疫反応テスト(DTH-2)反応が12mm以上あった群では無増悪期間(中央値で)が13.9ヶ月、12mm未満群で4.3ヶ月と明瞭な差があり、この差はDTH-2反応を10mmで区切っても同様とのことでした。
 免疫反応テストで強い反応を示す方は、がんが増悪しにくくなっていることを示しています。

 5) 鳥取大獣医学部(岡本芳晴先生)からは、イヌネコの乳がんに対する自家がんワクチン療法について、再発前の自家がんワクチン投与が重要だとの発表がありました。イヌネコの乳がんはヒト乳がんの良いモデルとなっています。