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06
Oct
注目! → <"自家がんワクチン"と"がんペプチドワクチン"とは、一緒に使っても問題なく、しかも、お互いに効力の不足分を補いあうという理論上の特徴があります。
がんワクチンにはいくつも種類があります。
"自家がんワクチン"(AFTVac)
手術を受けた場合、必ず作成されるホルマリン固定病理標本に使った残りのがん組織(本来は捨てられるもの)を、非常に細かく断片化して免疫刺激剤(アジュバント)を混ぜたがんワクチンです。手術を受けた患者様本人に注射します。
<長所> 生のがん細胞も生のがん組織も不要です。そのため、昔(何年前でも)手術を受けたときのがん組織が(その中のがん細胞が完全に死んでいるホルマリン漬けの状態でも、パラフィンに埋め込まれたブロック状態でも)2グラム程度さえ残っていれば、いつでもワクチンが作れます。がん組織まるごと使いますから、その中に含まれていて、その患者様にだけにしかない未知のがんペプチドまでも、がんワクチンの成分として利用されます。また、がん細胞をとり囲んでいてがん細胞を支えている正常細胞群にのみ発現されている「がん抗原代替分子」さえも利用されるため、がんワクチンとしての能力が強化されています。
患者様本人に専用のワクチンですから、患者様の遺伝子型は問題にならず検査も不要です。
<短所> がん組織2グラム程度では、がん抗原たんぱく質やがんペプチドの種類は全て含んでいても、一つ一つの種類の含有量が少ないという弱点があります。
→ (がんペプチドワクチンは、一部の種類であれ、量的不足を補えるため、自家がんワクチンと相補的な作用をすると期待できます)。
がんペプチドワクチン
がん抗原といわれる本体は、がん抗原だと解明されているたんぱく質の、実はごく一部分だけです。たんぱく質はアミノ酸が数百個も鎖状につながったものですが、そのうちのわずか8-10ヶのアミノ酸がつながった部分(ペプチドといいます)が切り出され、「がん抗原だ!」という情報としてリンパ球にキャッチされます。
がん抗原となるペプチドは、がん細胞だけにある「がん抗原たんぱく質」一種類からだけでも、切り出し方によってたくさんの種類ができてきます。これらの代表となるごく一部の種類のペプチドを化学合成して、患者様に注射する製剤としたものが、がんペプチドワクチンです。
<長所> 化学合成できますから、安く大量に作れます。
<短所> 一種類のがんペプチドだけではあまり強いがん治療効果がないということが、欧米の研究ですでに判っています。たくさんの種類を合成するのはたいへん面倒なことです。そのために、現在では4-5種類のがんペプチドを混ぜて効果が出やすいようにしています。それでも種類不足だといわれ、10種類以上も混ぜて治療効果を研究しているところさえあります。また、がん細胞の表面にある「MHCクラスI抗原」というたんぱく質の遺伝子型によって、「がん抗原だ」という情報が表面に出たり出なかったりするため、遺伝子型が合わないと、がんペプチドワクチンによる治療ができないことがあります。
→ (がん抗原の種類不足を補え、遺伝子型に束縛されない自家がんワクチンとの組み合わせ治療が可能です)。
がん抗原タンパクワクチン
がん抗原たんぱく質そのものを遺伝子組み換えで大量生産してがんワクチン製剤にしたものです。
<長所> がん抗原たんぱく質から切り出されてできるがんペプチドの種類は多数ありますが、切り出し役の抗原提示細胞の中でがんペプチドを作らせ、「MHCクラスI抗原」の遺伝子型に合うものを選択させるため、どんながん抗原ペプチドができるかや患者様の遺伝子型を気にする必要がありません。
<短所> 巨大な分子であるがん抗原たんぱく質そのものを、一種類だけでも安定的に大量生産するのはたいへん難しい技術です。そのため、非常に高価になります。
樹状細胞ワクチン
体内の樹状細胞は、がんに限らず、抗原といわれるものを免疫細胞に教えることができる能力のある細胞群です。免疫細胞のうち、がん細胞を殺せるキラーリンパ球を刺激するタイプと、逆にキラーリンパ球の働きを抑制するブレーキ役のリンパ球を刺激するタイプがあります。樹状細胞をそのまま注射しても、がん治療効果が見られないため、体の外で、わざわざがん抗原を樹状細胞に取り込ませる処理をしてから、体の中に戻すようにしたものが樹状細胞ワクチンです。
<長所> 樹状細胞に取り込ませるがん抗原の種類には、生のがん細胞を溶解したもの(がん抗原たんぱく質が含まれている)、がん抗原たんぱく質だけ、がんペプチドだけ、などがあります。ワクチン作成上、がん抗原の種類を選べる自在さがあり、患者様の状況に合わせた微調整がしやすくなります。
<短所> もともと体内にある患者様本人の樹状細胞を、いったん体外に取り出して培養し、分化させ成熟させた上で、がん抗原を取り込ませるという非常に面倒な操作が必要です。樹状細胞は体外で増えないため数に限りがあり、取り込ませることができる抗原量も限定されます。そのため、繰り返し注射数が多くなり、1回1回の注射分は安価でも、この治療全体としてはどうしても高価になります。また、血中に流れている樹状細胞を、チューブを血管につないで体外に取り出す操作では、白血球全体を機械で取り出してしまう場合が多く、(1回きりであればあまり問題ないのですが繰り返すと)、患者様の体力的な負担が重くなります。
樹状細胞-がん細胞-融合細胞ワクチン
樹状細胞と放射線処理した生きているがん細胞とを融合させた細胞をワクチンとして使用するものです。
<長所> 樹状細胞に生きているがん細胞とを融合させると、生のがん細胞を溶解したものを取り込ませる場合よりも非常に効率よく取り込ませることができます。そのため、高いがん抗原提示能力、すなわち、高いリンパ球刺激能力を発揮します。
<短所> 融合させるために生きているがん細胞が必要というハードルがあります。融合細胞の作成も非常に面倒で、実用性に難があります。