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再発脳腫瘍の術後におけるワクチン接種間隔

12

Aug

 これまで、各種がんワクチンの接種間隔と回数はどれくらいが適切かという問題については、長い感染症ワクチンの接種経験から出たこの程度で良いのではないかという経験値が先ず決められ、それの前後を探索して最適化していくという方法が取られてきました。

 しかし、動物実験ならともかく、ヒト臨床でこの最適化を行おうとすると、精密な検定のために均質で十分な数の症例をそろえ、膨大な時間とコストをかけなければならない至難の研究となります。

 このような仕事を、術後再発膠芽腫(GBM)を対象にして実行したベルギーのグループがあり、2008年に論文が出されています(1)。

 GBMはもともと予後不良ですが、初期治療後に再発した場合はさらに不良で、再発腫瘍を(見かけ上)全部摘出した場合であっても、無再発の期間(PFS)はせいぜい2ヶ月といわれ、18ヶ月以内にほぼ全員が死亡するとされています。

 彼らが使用したワクチンは末梢血由来樹状細胞ワクチンですが、これを、
 A:1週目、3週目の2回、以後4週間間隔で繰り返す(計3~7回)
 B:隔週で計5回、以後4週間間隔で繰り返す(計3~9回)
 C:毎週で4回、以後腫瘍ライセートだけをブーストとして
   月1回皮内接種(ブースト計0~6回)
にわけて皮内接種しています。

 結果は、全体の症例では全部摘出がなされたか否かだけがPFSに対する有意の影響因子として検出されていますが、21歳以上の症例に限っていえば、
 A(PFS中央値 2.4ヶ月)
 B(PFS中央値 2.8ヶ月)
 C(PFS中央値 4.4ヶ月)
となり、CがA、Bに比べて明らかに長い(p=0.0008)となっています。すなわち、再発膠芽腫では、ヒトにおけるワクチン接種の間隔の通例である2週間間隔では間が長い(がんの成長速度に追いつけない)、毎週1回接種した方がよい、ということを表しています。

 弊社の「自家がんワクチン」の接種間隔は、一般的には2週間に1回皮内接種としておりますが、進行が非常に早い脳腫瘍では患者様が2週間も待っていられないという事情があり、すでに2002年から毎週1回皮内接種とすると定めておりました(2)。(上記の報告よりも6年も早かったことにご注目下さい。)

 2002年当時はまだ精密な科学的根拠はありませんでしたが、臨床現場の直感を導入しておりました。この度のベルギーのグループの論文により、科学的な裏づけが後からなされたと考えております。

 他のがん種であっても、もちろん2週間間隔が原則ですが、がんの進行が早くなり2週間間隔では待てなくなっている状態では、1週間間隔で自家がんワクチンを接種しても、相応の有効性は期待できると推定されます。

REFERENCES

1. Steven De Vleeschouwer, et al.: Postoperative Adjuvant Dendritic Cell? Based Immunotherapy in Patients with Relapsed Glioblastoma Multiforme.
Clin. Cancer Res. 2008 14: 3098-3104.

2. Ishikawa, Eiichi, et al.: A clinical trial of autologous formalin-fixed tumor vaccine for glioblastoma multiforme patients. Cancer Sci., 98(8):1226-1233, 2007.