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アメリカ臨床腫瘍学会(ASCO2007)の潮流
28
Jun
年のASCO(第43回米国臨床腫瘍学会)は、 6月1日~5日にシカゴにある世界一のコンベンションセンター・マコーミックプレースで開催されました。世界各地から約3万人が参加したそうです。メインコンコースは人があふれ、銀座通りなみの混雑ぶりでした。
がん治療では抗体治療を含めて、分子標的薬を従来の抗がん剤治療のスキームにどのように組み入れるかといった試験が盛んに行われ、腎癌で承認されているソラフェニブやスニチニブでは、投与順を全ての組合せでトライするという複雑な試験までが組まれていました。
ソラフェニブやスニチニブは細胞内部のシグナル伝達系を標的とするため、メラノーマにも適用されています。ただし、ソラフェニブは最も重要な抗原提示細胞である樹状細胞(DC)の機能も阻害します。分子標的薬とはいいながらも、免疫療法との併用には必ずしも適しません。
がん免疫療法としてはDCワクチン、他人のメラノーマ細胞を利用したアロワクチン、ペプチドワクチンなどが発表されていました。ただ、免疫療法の効果はまだまだ十分なものではなく、3日目の教育講演(がんワクチン)では、ローゼンバークの論文を引用して、各種のワクチンを全体としてみると、まだまだ奏効率の低さが目立ち、キラー細胞活性が上がっても、治療効果と一致しないことを指摘していました。しかし、ワクチンの種類によっては強いT細胞反応と明瞭なCR(完全寛解)症例も出ていることが紹介されていました。
がん免疫療法では世界的なトピックスとなっている免疫抑制の話題については、まだ少なかったのですが、抗CTLA4抗体の使用経験が発表がされていました。この抗体は、リンパ球(T細胞)の表面で細胞増殖を抑えるシグナルを阻害します。そのためT細胞が増殖しやすくなります。
転移性メラノーマに抗CTLA4抗体を適用した臨床試験では、30~40%の症例で問題となるレベルの強い副作用(主に下痢や大腸炎だが症状を軽減することは可能)が起こるものの、生存期間中央値は、対照群では7ヶ月であるのに対し、10mg/kg投与群が10.3ヶ月、15mg/kg投与群が11.0ヶ月と改善されていました。
Anti-CTLA4抗体は免疫療法のアジュバント薬として期待されますが、リンパ球の活性化のみならず制御性T細胞(Treg)の増幅をももたらすという報告もあったりと、使用方法を工夫しなくてはならないと思われるものです。
ASCO全体からは、抗体医薬を通じてがん免疫療法への関心が世界的に高まっていると感じられる一方で、がん免疫療法による明確な治療効果をさらに示していく必要があること、またそれらの作用機序の詳細な解明と提示が必要と思われます。
またその中では、「自家がんワクチン療法」におけるように、患者自身のがん組織中のがん抗原を全て使うといった考え方は、技術的には決して間違っていないと思われます。特にがん抗原ペプチドワクチンを開発しているグループでは、単一抗原ペプチドワクチンを既にあきらめ、10種類ものペプチド抗原を混合してワクチンとする臨床試験も進行中で
した。体内のがん抗原はできるだけ多数を有効に使おうというトレンドが明らかです。







