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第2回がんワクチン療法研究会の報告
07
Dec
11月12日(土)、第2回がんワクチン療法研究会が東京大手町サンケイプラザで開催されました。内容的には、昨年の第1回に比し、がんワクチン療法の有効性を示唆する症例が多数報告される等、終了予定時刻を30分もオーバーするほど討論も熱心に行われ、治療の進歩が実感される会となりました。その中のトピックスをお届けします。
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《特別講演》では、
「悪性脳腫瘍に対する免疫療法:過去、現在、未来」と題して、筑波大・医・脳外・坪井康次先生から、貴重な臨床成績が披露されました。
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筑波大脳神経外科では、悪性脳腫瘍に対して、免疫細胞療法【リンホカイン活性化リンパ球(LAK、1987~1994)、細胞傷害性Tリンパ球(CTL、1996~2001)、ナチュラルキラー細胞(NK、2000~現在)】、および自家がんワクチン療法【2002~現在】が行われてきた。自家CTLは13例に、自家NKは9例に投与され、それぞれ好成績を収めている。また、最近は、自家がんワクチン(AFTV)が13例の脳腫瘍症例に投与されたが、そのうち3ヶ月以上経過観察可能な膠芽腫10症例においては、完全緩解1例、部分治癒1例、不変1例、進行7例となっており、膠芽腫では稀少な20ヶ月以上の長期生存例が3例認められている。
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脳腫瘍のうちでも最悪中の最悪といわれる膠芽腫で、再発後1年を越えて生存する症例は滅多にありませんので、たいへん重要なデータと思います。
《シンポジウム:「がんワクチン―基礎から研究へ」》では、
筑波大・医・脳外・石川栄一先生による<細胞免疫療法と放射線療法の併用効果がある>という基礎研究報告の後、鳥取大の岡本芳晴先生より、「動物の自然発症腫瘍に対する自家がんワクチンの作製とその有効性」に関する報告がありました。57例(犬 48 例、猫 9例)中、ワクチン投与中に明らかに別の原因で死亡した8例を除いた49例について、独自に設定した評価基準ですが(動物では「ドックイヤー」と俗に言うくらい生理的加齢速度が速いため)、78%で有効という、非常に高い成績が発表されました。腫瘍別では乳腺癌、脂肪肉腫に有効例が多く、悪性黒色腫では無効例が多い傾向があります。
また、東京女子大・医・脳外・村垣善浩先生からは、精密な脳手術の先端技術開発と並行して、初発膠芽腫の外科手術後に放射線照射と自家がんワクチンの併用療法が有効かという臨床試験が筑波大などとの多施設共同研究としてスタートしていると報告されました。最も治療困難な悪性脳腫瘍について極めて厳格な視点から科学的評価が始まったというわけです。
《一般演題》では、
東京女子大・医・脳外・丸山隆志先生が、脳腫瘍のうち退形成性星細胞腫4例においてNK細胞療法で腫瘍縮小、治療から6年経過している症例を経験したという報告の他に、自家がんワクチン療法では、インターフェロンを併用するとワクチン投与時に強い反応が見られるという経験を話されました。ただし、抗血液凝固剤を服用した状態でワクチン投与を行った症例では、5日後に腫瘍摘出腔内に出血が見られたので、抗血液凝固剤との併用は注意を要するとのことでした。また、メラノーマの肺・脳転移症例で、自家がんワクチンとNK細胞投与を行い、これらの免疫療法のみで1年生存した症例を経験しております。
脳腫瘍の自家がんワクチン療法については、琉球大・医・脳外・土田幸広先生のところでも、着々と経験例が蓄積されております。
「ワクチンアジュバントの BRM 効果について」報告された文京クリニック・倉根修二先生は、自家がんワクチン接種後の末梢血リンパ球数について、統計学的に有意な増加があったと発表、NK 活性は上昇傾向あるものの有意差は認められませんでしたが、ワクチン接種後に免疫反応テスト(DTH-2)で陽転しなかった症例においても、ワクチン接種による各種免疫パラメータの改善と同時に、全身状態の改善が認められたとしております。自家がんワクチンに用いられているアジュバントのBRM作用(生物学的修飾作用)による可能性が窺われます。
また、たけだ免疫・遺伝子クリニック・林隆志先生からは、肝がんで再発を繰り返すため、塞栓術(血管内療法の一つ)やアルコール注入を4-6ヶ月毎に5回も行っていた症例で、自家がんワクチン療法後9ヶ月間以上も再発がぴたりと収まっている例をはじめとして、再発を繰り返していた肝肉腫を含む肝腫瘍3例にて、再発が抑えられている傾向が見られるとの報告がありました。
会場で感嘆されたのは、尾道総合病院・外科・倉西文仁先生の報告でした。高齢の肺がん症例で、胸水貯留アデノカルチノーマのため全摘出をあきらめ姑息的手術をおこなった例では、自家がんワクチン接種後、腫瘍マーカーが一時的に上昇したにもかかわらず、接種3ヶ月後から減少しはじめ、7ヶ月間減少し続けた症例が示されました。この間、他療法は一切行っていないとのことです。この症例においては自家がんワクチン単独で有効に作用したと考えられます。
乳がんの骨転移は強い痛みを伴いますが、5-FU関連抗がん剤が無効だった症例で、肋骨転移がん部位を材料として調製した自家がんワクチンと、頸椎転移部位への放射線照射との併用により腫瘍マーカー値が正常化した例も報告されました。この症例では、自家がんワクチン療法中でも低用量抗がん剤を服用していましたが、全期間を通じて白血球減少は認められておらず、自家がんワクチンと骨髄抑制をきたさない低用量抗がん剤の併用は必ずしも禁忌ではないかもしれません。今後の検討課題となりました。
さらに、77才という高齢の胆管癌症例では、原発巣摘出後、胸壁転移巣を放射線照射したが再発し、腫瘍マーカーが上昇、転移巣摘出手術を2度も施行、その後に5ヶ所もあった脳転移巣に対し放射線照射と自家がんワクチンを併用したところ、高値の腫瘍マーカーが正常化したまま4ヶ月以上継続しているとのことです。
後者の2例とも、典型的な集学的がん治療の症例で、自家がんワクチンだけが効いたとは言えませんが、"放射線と自家がんワクチン"の併用は、末期進行がんにおいても治療効果をもたらす可能性があることを示しております。
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昨年の第1回に比べ、これほどの進歩があるとは主催者の期待を大幅に上回るものでした。来年の第3回がんワクチン療法研究会では、更なる発展があるものと思われます。







