よくあるご質問と回答

自家がんワクチンの効果

10 「自家がんワクチン」は肝がん以外にも有効なのでしょうか?「がん」はもともと発生した場所により性質が異なるそうですが。私の場合、もともとは副腎に発生した「がん」で、問題となっているのが肝・肺に転移しているがんです。

 他の種類の「がん」でも、ワクチンの作り方は同じですし、そのがん組織自体を使用しますので、その中に潜んでいる異常目印(がん抗原、TAA)を認識できるように、ワクチンが体内でキラーリンパ球の活性化に成功すれば、その「がん」がどこに転移したとしても、同じように効果があると推定しております。もし、副腎に発生したがんが肝・肺に転移したのであれば、肝から摘出したがん組織のホルマリン固定組織を使用しても、理論的には肺でも有効となると思います。

 しかし、そうではなく、肺に全く新たに発生した「第2のがん」ならば、肺から摘出したがん組織を使用しなければなりません。副腎がんと肺がんでは性質が異なるからです。

 転移なのか第2原発がんなのかは、主治医に必ず確認願います。

11 どんながんにでも効くのですか?

 「自家がんワクチン」が 患者様の体内の狙ったがん細胞を殺せるキラー細胞をうまく活性化できれば、狙ったがんがどんな種類であれ、 効果が期待できます。 ただし、条件があります。

 キラー細胞のうちCTLは、相手が正常細胞ではなく、異常だと認識すれば、どんながん細胞でも殺します。 しかし、相手のがん細胞側が異常だという目印を示していないといけません。また、その異常目印(TAA、がん抗原)を認識して殺せるCTLが体内で大量に増殖しないといけません(このため、大切な免疫細胞もまとめてがん細胞と一緒に殺してしまうような「強烈な抗がん剤療法」とは、がん免疫療法は一般的には両立しないとされています。※注参照)。

 CTLの増殖スピードよりも、がん細胞の増殖スピードが早い場合は、CTLの増殖が追いつかないため、がん細胞を殺しきれなくなってしまいます。そのため、あまりにも進行し最末期になってしまった患者様では、「自家がんワクチン」療法では対応し切れないという事態が起こります。

 (※注:<2009.5.6 修正>最近の研究では、がんワクチン療法では、「低用量」抗がん剤と併用した方がむしろ良い場合があるという学会発表や論文が多数でてきております。 例えば脳腫瘍におけるテモダールや膵がんにおけるジェムザール等です。他のがん種ではどの抗がん剤をどの程度ならば併用しても大丈夫かという点については、患者様の主治医にお問合せ下さい。)

 また、がん細胞のなかにはその異常目印を示さないように変異したやっかいものが出来てくることがあります。そうなるとCTLは、敵と認識できず、見逃してしまいます。 このような場合は、がんの末期でなくても、再発や転移が発生します。がん末期になってしまうと、なおさらこの確率が高くなってきます。

 しかし、キラー細胞のうちNKは、この異常目印があるなしにかかわらず、相手が本来体内にない異常細胞であれば、どれでも殺してしまいます。ただし、相手側の細胞にNKに殺されないようにする阻害分子(CTLに対して目印を示す分子の1種でもあります)が備わっていると殺すことができません。正常細胞はこの阻害分子を持っていて、示す目印も正常のものなのです。がん細胞はこの阻害分子を持っていない場合が多いのですが、まれに持っている場合もあります。

 したがって、がん細胞が異常目印を示す分子を持っている場合はCTLが殺し、異常目印を示す分子を持っていない場合(阻害分子もない場合)はNKが殺すことができます。(がん細胞が異常目印を示す分子を持たず、しかも、NKにも殺されないようにする阻害分子を持っているという、全く運の悪い場合は非常に少ないと考えられていますが、 万一あれば、がん免疫療法はうまくいきません。)

12 「自家がんワクチン」の効果はどのくらい続くのですか?

 分子として全く同じであるQ9の回答欄に述べた異常目印(TAA、がん抗原)を細胞表面に発現しているがん細胞に対しては、それを殺せるキラーT細胞が大量増殖したあとにメモリーT細胞ができ、そのメモリーT細胞が生きている限り、何回でもキラーT細胞を刺激して活性化し増殖させるため、効果は長く続くと考えられております。

13 「自家がんワクチン」療法でも効果の出ない場合がありますか?また、効果が期待できない場合はどうしたらわかりますか?

 効果の出ない場合もあります。Q11の「どんながんにでも効くのですか?」の項目に記載した条件をご覧下さい。これらの条件に合わない場合は 、なかなか難しいものとなります。

 効果が期待できるか否かを、おおまかにですが、推定できるのがQ15の回答欄に述べる2回目の免疫反応テスト(DTH-2)です。これで前腕の紅斑が直径10mm以上になれば(すなわち陽転すれば)、体内で免疫細胞が活性化していると考えられます。陽転しなければ、免疫細胞は十分には活性化していないと考えられます。ただし、必ずしも治療効果と直結しているわけではないことに注意して下さい。おおまかな目安にしかならないため、2回目の免疫反応テストは省略されることもあります。

14 自家がんワクチンが効かないがんはありますか?

 スキルス胃がんで転移を起こしていた末期の症例では、自家がんワクチンを投与しても無効でした。

 スキルス胃がんのほとんどは印環がんといって、若年者群では他の型の胃がんに比べて核抗原PCNAの発現が低いといわれており、治療困難であったと解釈しております。

 ただし、スキルス胃がんでも印環がんではなく腺がんタイプでは、〔症例0124〕のように、自家がんワクチン接種後の長期無再発例があります。

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