よくあるご質問と回答

自家がんワクチンの原理

8 「自家がんワクチン」の原理を簡単に教えてください。なぜ効くのですか?

 ヒトの体内には、正常な細胞が何かの原因で異常になった場合、それを殺して排除するキラー細胞(リンパ球の一部です)が本来備わっています。キラー細胞には、主に細胞傷害性Tリンパ球(CTL)とナチュラルキラー細胞(NK)があります。しかし、がん細胞は正常細胞と非常に性質が似通っているため(もともと自分自身の体の細胞ですから当然ですが)、通常、キラー細胞はがん細胞をすばやく殺せるほどには活性化されておりません。

 がんワクチン療法は、体内で刺激を与えることによってキラー細胞を活性化し、体内のがん細胞を殺すように誘導する治療法です。「自家がんワクチン」では、この刺激剤として患者様自身のがん組織をホルマリン処理したもの(死んだがん細胞を含む)を使います。これが体内のリンパ球を増加させキラー細胞群を活性化し増殖させる働きをします。キラー細胞は、普段はウイルス感染細胞や傷ついた細胞を殺し、体内からクリーンアップする役割を担っています。その重要な役割の一部が、がん細胞を殺す作用なのです。

9 「自家がんワクチン」を接種すると、なぜキラー細胞が活性化するのですか?もう少し詳しく教えてください。

 ホルマリン漬けにして化学固定したがん組織の中に含まれているがん抗原(TAA)が異常目印となって、キラー細胞刺激作用を担います。

CTL-induction-mechanism.jpg

 「自家がんワクチン」を接種すると、固定がん組織が樹状細胞(DC)等の抗原提示細胞に取り込まれ、そのなかで消化されます。消化途上でできたTAAの一部がヘルパーT細胞(図中のCD4型のリンパ球)に提示され、ヘルパーT細胞が活性化し、それがキラーT細胞(図中のCD8型のリンパ球)を刺激します。このキラーT細胞が、生きているがん細胞の表面に出ているTAA(「異常目印」)を認識してがん細胞を殺すCTLです。

 CTLのもととなるTリンパ球は誰にでもあり、血中を流れています。しかし、TAAを認識して、がん細胞を殺せるようにトレーニングし、増殖させる必要があります。そのトレーナー役が樹状細胞です。樹状細胞は死んだがん細胞を取り込んで消化し、その情報をヘルパーT細胞に伝えます。ヘルパーT細胞が活性化してサイトカイン類を放出し、これがCTLのもととなるTリンパ球を活性化して増殖させるのです。このとき、樹状細胞は直接CTLと接触し活性化することも知られています。 

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