臨床医の先生方へ

投与のタイミング

実際にワクチンを使う時の注意点についてご説明したいと思います。大切なのは、自家がんワクチン療法実施のタイミングです。

化学療法、放射線療法は併用できます

自家がんワクチンは体内のリンパ球を誘導してがん細胞を攻撃するため、標準治療で使用される毒性の強い高用量の抗がん剤との同時併用はあまり望ましくはありません(一般的な抗がん剤はTリンパ球を殺す力が強いからです) 。

しかし、毒性があまり出ない量=低用量の抗がん剤(CTCグレード 1程度までで、末梢血リンパ球数が1000/ul以上を保てる量)なら、むしろ併用した方が良い場合もあります。(→ドクター通信アーカイブ、No. 158, 159, 160を参照)

また、放射線療法の場合、照射部位のリンパ球は殺されてしまいますが、非照射部位の免疫細胞が利用できるため、免疫療法の併用効果が期待されます。(→ドクター通信アーカイブ、No. 162を参照)

自家がんワクチン接種のタイミング

  • * 化学療法前
  • * 化学療法や放射線療法と併用(リンパ球数がおおよそ1000/ul以上の場合)
  • * 化学療法や放射線療法後(休薬後末梢血リンパ球数がおおよそ1000/ulに回復してから)

がん細胞がおとなしいときがチャンス

自家がんワクチン接種後に、がん特異的なリンパ球が誘導、増殖してくるのに時間がかかるため、治療効果が現れるまで、3ヶ月以上かかることもまれではありません(例えば症例0144の腫瘍マーカーの変化をご覧ください)。その間、がん細胞群の増え方が遅いため急速に症状が悪化することはないだろう、という見通しがあることが、自家がんワクチン療法開始のキーポイントになります。また、このようなスローな癌は、一般に抗がん剤が効きにくく、化学療法のみで制御しようというのは無理な場合が多く見られます。体内で活性化したCTLが増殖できるためには、患者様の体力が十分に維持されていることが大切です。特に、がんの終末期の場合は、体力低下による免疫応答能が激減していることが多く、自家がんワクチン療法は無駄になりますので、お勧めできません。

禁忌
自家がんワクチン投与前から、すでに自己免疫疾患があると疑われる場合は、絶対に自家がんワクチンを投与しないで下さい。強い免疫刺激力のため、自己免疫疾患を憎悪させる可能性があります。

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