ドクター通信

238 がん免疫療法はもっと早期から実施せよ--日本がん免疫学会総会会長

10

Jul

 先週(2011年6月30日-7月1日)、大阪で第15回日本がん免疫学会総会が開催されました。そこで講演された総会会長の阪大・杉山治夫教授は、今後のがん治療に大きく影響する2つの重要ポイントを指摘しています。

 すなわち、
 -------------------------------------------------------------
 1)従来は、抗がん剤と免疫療法は相容れないものと考えられており、実際、従来の抗がん剤との併用療法では、免疫療法の臨床効果はみられなかったか、弱かった。
  しかし、ジェムザールのようなタイプの抗がん剤は、免疫療法の効果を大きく上げることが明らかになった。抗がん剤+免疫療法がそれぞれ単独よりも相加的あるいは相乗的に臨床効果が上がる可能性が明らかになりつつある。

 2)今後のがん治療の治療戦略としては、がんの診断を受ければ、すぐに免疫療法を開始し、その後、標準療法としての手術、抗がん剤療法、放射線療法を行う。免疫療法をその後、数年間続け、静止期がん幹細胞を死滅させ、再発を防ぎ、根治を目指すのがよいと考える。
 -------------------------------------------------------------
です。

 1)については、ジェムザール以外でも、TS-1、テモダール等がすでに免疫療法と相性が良いとされています。(もちろん個人差は大きく、症例によっては併用不可能な場合もあります。)

 また、ジェムザールのようなタイプではないとされる強い副作用のある抗がん剤(たとえば白金製剤)であっても、投与量とタイミングを微妙に調整すれば免疫療法と併用可能という指摘もあります。がん休眠療法の立場からすれば、抗がん剤のタイプは選ばず、投与量とタイミングが問題であるとされています。

 2)については、弊社の「自家がんワクチン療法」の場合は、摘出固定がん組織を抗原に使いますので、術後でなければ作製できませんが、ペプチドワクチン等であれば、患者のHLA遺伝子型さえ確定すれば、対応する抗原ペプチドの選択・投与はすぐにできます。

 しかし、ペプチドワクチンでは使用可能な合成抗原ペプチドの種類は少なく、これだけで有効性を確保しようとするのは、周知のように至難です。

 それに引き替え、圧倒的に第1の選択肢である手術は、一挙にがん組織量を激減できるが故に、可及的に適応すべきであると筆者は考えます。

 そしてその後は、当該腫瘍特異的でありかつ(未知のがん抗原も含めて)圧倒的に多種類のがん抗原ペプチドを発生できる「自家がんワクチン」の使用が望まれます。

 もちろん、摘出がん組織量という材料の限界があるため、数年にわたる自家がんワクチンの繰り返し投与はできませんが、理論上はいくらでも合成でき無限に繰り返し投与可能な代表的がん抗原ペプチドワクチンを後から併用すれば、「がん抗原の種類と量と繰り返し数」の問題点を相互に補うことができると考えられます。