ドクター通信
224 日本バイオセラピィ学会の話題から
16
Dec
先週、12月9-10日、大阪国際会議場で第23回日本バイオセラピィ学会
が開催されました。そこで発表された
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特別講演:がんペプチドワクチン療法の今後の展望
中村祐輔(東大医科研、国立がんセンター)
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から、最新の話題を2つお届けします。
1)2009年9月に米国のFDAは、がんワクチン開発にあたってガイダンス(ドラフト段階)を発表しています。そこでは、
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がんワクチンの臨床試験デザインでは、
1.小さいガンor術後を対象にするのがよい
2.Double blind testをすべきだ
3.腫瘍サイズの縮小では効果は測れない(←抗がん剤との違い)
4.効果(全生存率, etc.で測る)が出るまで時間がかかる
→ 転移がんがある場合、投与開始から病状悪化までの期間が短いため、従来の抗がん剤の場合のような評価方法では、効果が出るまでの時間が確保できない可能性がある。
→ 遅延効果があるため、Logrank testのように観察期間を通じてHazard ratioが一定という仮定がおけない。当初のうちはHR=1であり、以後HRが1以下に変化する(delayed separation of curveが起こる)。この統計解析にはHarrington-Fleming法が必要、
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とのことです。
2)中村グループが開発しているペプチドワクチンの効果について、まとめの解説をしていました。それを要約すると、
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(1)治療開始前のリンパ球の割合が大きいほど予後が良い。
血中リンパ球の割合が35%≦の症例(n=24) vs. 15%>の症例(n=25)では、MSTに1年以上の差が出た(p<0.0001)。
(2)ランダム化した食道がん臨床試験では、単種類のがん抗原ペプチドによりも、複数種類のがん抗原ペプチドに対するCTL反応が出た症例の方が長命だった。
1種のがん抗原でみたとき少なくとも80%の症例で発現しているがん抗原ペプチドを3種混ぜて投与した症例中では、
3種のぺプチドにCTLが誘導された(n=9)→ MST=7.5ヶ月
2種のぺプチドにCTLが誘導された(n=7)→ MST=7.7ヶ月
1種のぺプチドにCTLが誘導された(n=10)→ MST=3.9ヶ月
どのぺプチドにもCTLが誘導されなかった(n=5)→ MST=2.7ヶ月
(CTLが誘導されなかった群と比較すると3種のぺプチドにCTLが誘導された群では有意差がはっきり出た。)
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また別演題ですが、同じ近畿大外科から大腸がん臨床試験でも1種のペプチドへのCTL反応例よりも2種のペプチドへのCTL反応例で予後が良い傾向ありと発表していました(これは演題SP1の近畿大外科・奥野らのデータで、Okuno K, et al. Exp. Ther. Med. 2:73-79, 2011に出版予定。p=0.0079)。他のがんに対しては5種類ものペプチドを混合使用している例もありました。
これらの発表から考察できる重要なポイントがあります。
→ それならば、がん抗原ペプチドの種類だけは、未同定のものも含めて大量に発生する自家がんワクチンの方がいいはずです。
すなわち、「ペプチドワクチンは合成品で量は多くても種類が少ない、自家がんワクチンでは自家由来のがん抗原ペプチドの種類が圧倒的に多くできてくる(量は少ないが)、両者を併用すれば相互に補完的になり得る」のです。
どうか、今後は、「自家がんワクチンをペプチドワクチンと一緒に使えばもっと良いはず」とお考えいただければ幸いです。
なお、オンコセラピー社社長の角田卓也氏の説明では、注射する合成ペプチドを血液と混ぜるとペプチダーゼによって秒単位であっという間に分解され、血中では検出できなくなるそうです。
そのためpharmacokineticsデータ、pharmacodinamicsデータがとれないのだそうです(通常の低分子化合物医薬品の場合は、分解産物データと血中動態のデータは必須データとして承認申請時に要求されます)。
ということは、2mgもの(がん抗原としては莫大な)量のがん抗原ペプチドを注射しても、実際上がん抗原として機能するのは、たまたま運よく注射場所にいた抗原提示細胞につかまった超微量のペプチドだけが作用することを示しています。
それに引き替え、自家がんワクチンはホルマリン固定組織が抗原ですから、ペプチドではありません。固定組織断片が抗原提示細胞に取り込まれ、その細胞内で発生したペプチドが細胞内のMHC-I分子と結合しますから、量は少なくてもムダなく効率よく使用される、と考えられます。
理論上ではあっても、この点も考慮すれば、自家がんワクチンはペプチドワクチンと併用できることを理解していただけると思います。








