ドクター通信

222 第7回がんワクチン療法研究会から--その2--

07

Dec

 第7回がんワクチン療法研究会学術集会が、11月27日(土)、金沢にある石川県立音楽堂で開催されました。その中から、自家がんワクチン関係の話題をご紹介します。

(これは、先週発信した
    第7回がんワクチン療法研究会から--その1--
                       の続きです)

(4) JA尾道総合病院外科(倉西文仁先生)から、自家がんワクチン投与前後の血中のT細胞分画の変化について、発表がありました。

 血中リンパ球のT細胞には、細胞性免疫反応を促進するTh1細胞と、逆に抑制するTreg細胞があります。今回は、術前には化学療法をしておらず、術時リンパ節転移を認めたため化学療法を施行し終了したが再発可能性が高いという乳がん症例33例を対象として、自家がんワクチン療法前後の変化を分析しておりました。

 33例中、1コースの自家がんワクチン療法により、DTH反応が陽転した27例では、総白血球数が1.11倍、リンパ球数は1.09倍となり、いずれも統計学的にみて有意に上昇していました。

 また、T細胞中のCD4+細胞のうち、ヘルパー型のTh1細胞もやや増えていた(有意)ことから、Th1/Treg比は1.17倍となっており(これも有意)、全体としては、「Th1の増加による細胞性免疫反応の増強が起こると考えられる」と強調していました。

 自家がんワクチンは、基本的に「患者様のがん免疫反応を強化する」と判断してよい思います。

(5) 筑波大脳神経外科(石川栄一先生)と東京女子医大脳神経外科(村垣善浩先生)から、それぞれ、脳腫瘍(グレードIVの神経膠芽腫)に対する自家がんワクチン療法の多施設臨床研究について発表がありました。

 この臨床研究は、東京女子医大の方が先に走っており、本邦におけるテモダール承認前にスタートしていましたので、自家がんワクチンは放射線治療終了直前に3回接種されています(放射線とは同時併用になります)。22症例に実施され、無増悪生存期間中央値は、全体としては7.6ヶ月、うちDTH-2反応12mm以上の群で13.9ヶ月、12mm未満群で4.3ヶ月と有意差があり(p<0.01)、この差はDTH-2反応を10mmで区切っても同様とのことでした。

 筑波大では、テモダール承認後にスタートしていて、膠芽腫の標準治療となっている「手術+放射線+化学療法(テモダール)」の上に自家がんワクチンを重ねて投与したらどうなるかを研究中です。まだ8例と登録症例数がすくなく、無増悪生存期間中央値は7ヶ月程度と発表されていました。

(6) 鳥取大獣医学部(岡本芳晴先生)からは、イヌネコの乳がんに対する自家がんワクチン療法について発表がありました。イヌネコの乳がんは自然発生癌であり、ヒト乳がんの良いモデルとなっています。

 今回は特にDTH反応との関係が分析され、イヌ初発54例中、無再発例では91%がDTH陽性になっておりました。しかし、再発してしまった症例中ではDTH反応陽性群(n=11)および陰性群(n=8)の間には平均寛解日数(170日vs133日)には有意差がみられなかったといいます。

 この系でも、再発前の自家がんワクチン投与が重要と思われます。