ドクター通信
195 制御性T細胞はがん免疫療法の目の敵か?
05
Jan
明けましておめでとうございます。
2010年では第1号となるニュースをお届けします。
ヒトの血中を流れているリンパ球のうち、ヘルパー型のTリンパ球には、Th1, Th2の他に、インターロイキン(IL)-17を産生するTh17があることが知られています。この細胞は、IL-17を通じて好中球を呼び寄せ炎症反応を起こすことによって、感染症から生体を防御していると考えられています。
マウスのがんモデル実験系では、Th17細胞の移入によって、Th1移入よりも一層効果的に大型がんが治療できることが示されていましたが(1)、これがなんと腫瘍所属リンパ節中で、細胞性がん免疫反応を強力に抑制する制御性T細胞(Treg)から分化誘導されてくることが示されました(2)。
ヒトでも末梢血中には、「Treg → Th17」の転換途上にあると思われるTreg/Th17の両方の性質を兼ね備えたリンパ球が発見されており、特に扁桃腺に多いことが示されています(3)。
ということは、「TregとTh17は、免疫寛容と炎症惹起のバランスを取っているのではないか」と考えられ、従来の「Tregを抑えれば、Th1優位となりがん治療が可能だ」という概念(仮説)では説明しきれない、複雑な免疫反応ががん局所で起こっていると思われます。
がん免疫療法を成功させるべく、むやみにTregを抑えようと目の敵にするのは、Th17への局所転換の源を失うことになり、実は考えものかもしれません。
REFERENCES
1. Pawel Muranski, et al., Tumor-specific Th17-polarized cells eradicate large established melanoma. Blood 2008 112: 362-373.
2. Madhav D. Sharma, et. al., Indoleamine 2,3-dioxygenase controls conversion of Foxp3+ Tregs to TH17-like cells in tumor-draining lymph nodes. Blood, 2009 113: 6102-6111.
3. Kui Shin Vooa, et al.: Identification of IL-17-producing FOXP3_ regulatory T cells in humans. Proc Nat Acad Sci 2009 106(12): 4793?4798.











