ドクター通信

197 抗がん剤とワクチンの同時併用--白血病の例から

29

Jan

 グリベックという抗がん剤は、白血病のなかでもCML(慢性骨髄性白血病)とGIST(消化管間質腫瘍)に著効を示すことで知られ、広く使用されています。しかし、この薬は生存率を著しく改善はしますが、ほとんどの場合、体内のがん細胞は完全には根絶されず、残存するため再発を繰り返すとされています。

 これゆえに、化学療法は、
 「Constant percent cell kill = 一定の割合でがん細胞を殺す
        → 必ず生き残りがでる。」
だといわれるわけです。
 (ドクター通信 from セルメディシン No.192、2009.12.02 参照)

 そこで、今月号のClin Cancer Res.に掲載された論文(Ref.1)では、グリベック投与期間が37ヶ月で、細胞検査では完全寛解にみえても1年以上たってなお分子遺伝学的検査(PCR法)ではまだ残存がん細胞が検出できるCML患者19例を対象に、K562細胞にGM-CSF遺伝子を仕込んだ他家ワクチン(Cell Genesys社製)を投与したところ、13例で残存がん細胞が減少、うち7例でPCRでも検出できなくなったと報告しています。

 もちろん、ワクチン投与期間も含めてグリベックは連続投与しています。

 このように、抗がん剤とワクチンの同時併用は、特に抗がん剤では殺しきれない残存がん細胞の一掃に役立つと考えられます。

 自家がんワクチン療法の場合も、全く同じパターンで応用が可能と考えられます。すなわち、手術で大型がん組織を切除(debulking)、術後に残った残存転移がんを化学療法でたたきつつ、さらに殺しきれない残存がん細胞を「自家がんワクチン」で除去する、という戦術です。

 どうか積極的にご検討下さい。

(ただし、骨髄抑制を惹起するほどの強烈な化学療法を施行している間に同時に自家がんワクチン療法を実施するのはいかがなものかと思われます。
 このような場合は、化学療法がいったん終了し休薬期間に入って末梢血リンパ球数がおおよそ1000ヶ/ul程度まで回復してくるのを待ってから、自家がんワクチンを投与すべきではないかと弊社では考えております)。

REFERENCE

1. Smith BD, Kasamon YL, Kowalski J, Gocke C, Murphy K, Miller CB, Garrett-Mayer E, Tsai HL, Qin L, Chia C, Biedrzycki B, Harding TC, Tu GH, Jones R, Hege K, Levitsky HI.
K562/GM-CSF immunotherapy reduces tumor burden in chronic myeloid leukemia patients with residual disease on imatinib mesylate.
Clin Cancer Res. 2010 Jan 1;16(1):338-47.