ドクター通信

192 今秋に集中した学会の話題から

01

Dec

 毎年、秋は学会シーズンで、にぎやかな会が幾つか集中します。

 今年も10月に入ってから、弊社の事業に関係の深い学会が次々と開催されました。並べてみますと

 ・第67回 日本癌学会、横浜、10月1-3日
 ・第47回 日本癌治療学会、横浜、10月22-24日
 ・第 6回 がんワクチン療法研究会、京都、10月31日
 ・第22回 日本バイオセラピィ学会、大阪、11月26-27日

 いずれも、がんワクチン関係の臨床効果に関する新規発表が相次ぎました。大きな学会では、がんペプチドワクチンの多施設共同の大型臨床試験が進行中との報告がある一方、まだまだPhase I段階の安全性確認試験が多く、効果が判定できる後期Phase IIの試験結果が発表されてくるのは、早くてもあと1-2年かかりそうです。

 小さながんワクチン療法研究会では、参加された先生方の現場で日々経験されている自家がんワクチン療法の症例報告を題材に、目の前の患者様にどのように対処すべきか、他療法との組み合わせをどう生かしていくか、症例に即した具体的な議論が活発でした。

 その会の会長講演(京都府医大・古倉聡先生)の中で、化学療法と免疫療法の比較論がありました。筆者が気づかされたキーポイントは、
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  化療:constant percent cell kill
    一定の割合でがん細胞を殺す → 必ず生き残りがでる。
  免疫:constant number cell kill
    ある絶対数を殺す(例として10^6ヶをあげていた)
     → がん細胞が10^9ヶ(直径1cm)もあると殺しきれない。
  だから、集学的治療が重要だ。
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というものでした。術後残存がん・再発がんに対しては、化療、放射線、温熱などでできるだけmass reductionをかけ、残った少数がん細胞をがん免疫療法でたたく、という作戦が考えられます。今後は、免疫療法のタイミングをどう計るべきかが話題となってくるでしょう。

 秋の学会全体を俯瞰したとき、ひとつの注目すべき傾向は、がん免疫療法では、臨床効果が化学療法の場合のように投与後すぐに現れることは少なく(腫瘍サイズが1-3ヶ月の期間で縮小するような例は少ない)、むしろ一旦悪化しても、3-6ヶ月かけてジワジワと効いてくる例があることです。

 そのため、ペプチドワクチンでもそうですが、投与前後4週間程度で腫瘍サイズの変化を計測するRECIST評価ではPDやSDとなってしまう症例でも、がん免疫療法では、6ヶ月もすると腫瘍は縮小しはじめ、やがてPRとなっていく例があったり、最初からPDでありながら悪化の速度が異様に遅くダラダラとしていてなかなか死亡にいたらないPD例や、SD状態が1年以上も続く例が多く見られました。

 Kaplan-Meierカーブを描いてhistrical control群と比較すると、投与開始3-6ヶ月は生存曲線に差が見られず、その後になって効果が顕現し差がでてくるという現象、すなわち、カーブの肩から下がり始め近辺は同じでも、カーブの裾野をみるとsurvivalが高い傾向が観察されています。
 
 今後、このようなカーブを描く治療法がどう評価されるか、注目すべきところです。