ドクター通信
194 タバコ1箱でも発ガンの危険--全ゲノム塩基配列決定から
18
Dec
12月18日着信のASCOからのニュースで、Natureの最新版(Ref. 1)に、同一患者の正常細胞とがん細胞の全ゲノム塩基配列を比較して、"catalog of mutations"を作成した結果、メラノーマ症例(43歳)で33,000ヶ、肺がん症例(55歳)では23,000ヶの変異(single mutation)が発見されたとのことです。
DNAにダメージが発生した場合、その都度修復してはいますが、ゲノム上に修復ミス=変異が残ってしまうことがあります。メラノーマでは主に紫外線、肺がんでは喫煙による変異が蓄積した結果とされています。
喫煙者の場合、計算上は"a typical smoker acquires one new mutation for every 15 cigarettes they smoke."
→ http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601087&sid=aiJh_oCD3DDs&pos=9
とされています。
多数の変異のうち、ある変異(driver mutation)が発生すれば発ガンすると推定されています。変異の蓄積があるほど、特にDNA修復機構に変異が溜まると、発ガンの確率が高まるのは必然と考えられます。
この研究は、最近開発された超高速ゲノムシーケンサーを使用した成果です。もはや、一人ひとりの患者様の全ゲノム塩基配列がわずか数週間で解析されてしまう時代に入っているのです。
なお、1人の患者でこれほど多数の変異蓄積があるとすれば、同一のがん種であっても、がん細胞の性質が個人ごとに極めて変化に富んだものになるのは容易に想像できます。そして、個人ごとに対応したがん治療法が今後は必須だとされているトレンドに、この研究は貢献していくことになるでしょう。
REFERENCE
1. Erin D. Pleasance et al., A comprehensive catalogue of somatic mutations from a human cancer genome. Nature advance online publication 16 December 2009 | doi:10.1038/nature08658











