ドクター通信
190 幹細胞からナチュラルキラー細胞への分化を決定するマスタースイッチ遺伝子"E4bp4"
16
Sep
先週は、T細胞の成熟に必須の新規遺伝子「themis」の記事を掲載しましたが、今週はもう一つの重要なキラー細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞への分化増殖を決定するマスタースイッチ遺伝子発見のニュースです。
NK細胞は、骨髄の中で造血幹細胞が種々の血球細胞に分化していく途上に出現するNK前駆細胞(マウスではCD122+NK1.1-の表面抗原を示す)から、未熟NK細胞、成熟NK細胞と分化しながら増殖し血中に出てきます。
この過程は、IL-15依存性であることが知られていて、IL-15遺伝子をノックアウトすると血中NK細胞が欠損します。しかし、同時にNKT細胞(CD3+NK1.1+)もCD8+メモリーT細胞も減少してしまい、NK細胞だけに分化させる分かれ道を制御する遺伝子は不明でした。つまり、IL-15遺
伝子はNK細胞だけに分化させる分かれ道の少し前の段階に働いていると推定されていたのです。
Gascoyneらはこのほど、アデノウイルスE4タンパク遺伝子やヒトIL-3遺伝子の転写因子として作用するE4bp4遺伝子をノックアウトすると、血中のNK細胞だけが欠損し、NKT細胞やCD8+メモリーT細胞は通常にあるマウスを発見、この遺伝子がNK細胞だけに分化させる分かれ道のマスタースイッチになっていることを確定しました(Ref. 1)。
このような、NK細胞分化を決定する遺伝子の発見は、その遺伝子産物のでき方、活性などを制御する方法等を探索することによって、免疫学の新分野開拓につながっていきます。
免疫学に携わるものとしては、楽しみが先週に続いてまたまた増えたと感じられます。
REFERENCE
1. Duncan M Gascoyne, Elaine Long, Henrique Veiga-Fernandes, Jasper de Boer, Owen Williams, Benedict Seddon, Mark Coles, Dimitris Kioussis, Hugh J M Brady: The basic leucine zipper transcription factor E4BP4 is essential for natural killer cell development. Nat Immunol, published online 13 September 2009; doi:10.1038/ni.1787








