ドクター通信

182 ASCO2009報告--その2

12

Jun

今年のASCO2009が、米国フロリダ州オーランドで、5月29日から6月2日まで開催されました。弊社が独自に収集した情報から、がん免疫分野の話題を提供します。
今回は、6/8発信のASCO2009報告--その1の続きです。

1. 制御性T細胞(Treg)浸潤が多い方が治療成績がいい!?

現在では「腫瘍組織中に浸潤したTregは局所でキラー細胞の活性阻害をする」という概念が普及していますが、これと矛盾する臨床成績が示されています(1)。

転移性大腸がん症例に、化学療法と免疫療法の併用であるGOLFIG(gemcitabine, oxaliplatin, 5-FU/FA, IL2, GM-CSF)を施行、FoxP3+ T細胞浸潤スコアと予後の相関について、FOLFOX治療症例群も取り混ぜて比較したところ、41人の全患者における、Treg high群、low群を比較した際、OS, TTP共にhigh群において延長が見られた(OS: 55.7 vs 28.9 months, TTP: 18 vs 9.4 months)。この中でも特にGOLFIGによる治療を行った患者でのhigh 群における延長が顕著であり、OS: 68.1 vs 41 months, TTP: 20.8 vs 11.6 monthsであったと報告しています。

6/8発信のASCO2009報告--その1の「2.多型膠芽腫に対するEGFRvIII ペプチドワクチンCDX-110の効果」の報告でも、実は、「CDX-110ワクチン+テモゾロマイド 100 mg/m2×21/28 days」という処置をした[ActⅡB] 群では、治療後に末梢血中のCD45RO+, CD4+中のTregの割合がワクチン接種前に比較し有意に上昇しているという現象が見出されております。

Tregの動向は、上記のような「腫瘍組織中に浸潤したTregは局所でキラー細胞の活性阻害をする」ために予後を悪化させているのだ、という単純化した想定には合わないかもしれません。今後、慎重な検討が必要です。

2. 再発脳腫瘍に対するベバシツマブの効果

ベバシツマブ(アバスチン)は5月5日にFDAから標準治療後に再発したGBM症例への適用が認められています。
→ http://www.cancer.gov/cancertopics/druginfo/fda-bevacizumab/print?page=&keyword=#Anchor-Glioblastoma

今年のASCOでもGBMに対するベバシツマブの発表がたくさんありました。承認されたプロトコールは2週間間隔で10mg/kg投与ですが、それを変更し、15mg/kgを3週間間隔で投与したところ(2)、61例の再発脳腫瘍(GBM 50, AA 5, AO/AOA 7)で奏効率はPR 15, SD 31, PD 15となったとの報告がありました。

再発後の予後の報告は非常に少ないのですが、この報告では、median PFS was 3.9 m; median OS was 6.6 mだったそうです。今後、この数値を超えることが、新規開発治療法を評価する一つの指標となるでしょう。

REFERENCES

1. Association of immune-regulatory (FoxP3+)-T-cell tumor infiltration status with benefit from chemoimmunotherapy with gemcitabine, oxaliplatin, 5-FU/FA plus GM-CSF and aldesleukine (GOLFIG) in metastatic colon cancer patients.
P. Correale, P. Tagliaferri, M. T. Del Vecchio, C. Remondo, C. Migali, K. Y. Tsang, M. S. Rotundo, F. Fulfaro, P. Tassone, G. Francini; Medical Oncology Siena University, Siena, Italy; Medical Oncology Unit, Catanzaro, Italy; Patology Section, Siena, Italy; Laboratory Tumor Immunology and Biology , Bethesda , MD; University of Palermo, Palerno, Italy
J Clin Oncol 27:15s, 2009 (suppl; abstr 3045)

2. A phase II trial of single-agent bevacizumab given every 3 weeks for recurrent malignant gliomas.
J. J. Raizer, S. Grimm, L. Rice, K. Muro, J. Chandler, C. Tellez, A. L. Mellot, S. Newman, M. K. Nicholas, M. Chamberlain; Northwestern University Feinberg School of Medicine, Chicago, IL; Northwestern University, Chicago, IL; University of Chicago, Chicago, IL; University of Washington, Seattle, WA
J Clin Oncol 27:15s, 2009 (suppl; abstr 2044)