ドクター通信
178 アメリカ癌学会(AACR2009)の話題から-その3
18
May
今年のアメリカ癌学会(AACR2009)はコロラド州デンバーにて4月18日から22日まで開催されました。
以下、その中からがん免疫に関係する話題を前回と前々回に続けてお送りします。
マクロファージには、がん細胞の殺傷効果がある一方で、腫瘍形成の促進作用があることが従来から知られていましたが、通常型のマクロファージと免疫反応サプレッサー型に分別できることが最近知られてきていて、前者がM1、後者がM2と分類されています。
今回、AACRに出たポスター発表では、Yingらが、すでにM1とM2型マクロファージの役割の違いについて、確定的に書いていました(1)。すなわち、
「Macrophages exhibit a classical, or M1 phenotype, that have the ability to destroy invading pathogens and cancer cells. In contrast, macrophages with the alternative, or M2 phenotype, can promote cancer progression by producing interleukin-10 (IL-10), matrix metalloproteinase 9 (MMP9), and other pro-tumorigenic chemokines. Tumor associated macrophages (TAMs) were shown to display a M2 phenotype and the accumulation of TAMs at tumor sites has been shown to correlate with poor prognosis in various types of cancer.」
ヒトM1マクロファージは、末梢血単核球分画にGM-CSFを、M2マクロファージはIL4 + IL13を添加して72時間培養し誘導しており、遺伝子発現パターンが明瞭に異なることを示していました。
一方、シンポジウムで講演したCoussensによれば(2)、肺癌マウスモデルで、CD4+ Tが腫瘍内へのmacrophage infiltrationをコントロールしている、immature macrophageのmaturationとphenotypeはTh1, Th2のサイトカインの影響を受け、それぞれM1, M2型になるという話でした。
マウスから一歩進め、この話をヒトがんに外挿するときに、アイルランドの乳癌データを引用していました。ヒト乳癌では、「CD4 density low, CD8 high, CD68 low」のグループが、low highそれぞれ逆の「CD4 density high, CD8 low, CD68 high」グループに比べてOSが長く(p=0.005)、生命予後のpredictorになっているということです。この場合、CD68がマク
ロファージのマーカーになっています。
マクロファージの腫瘍内浸潤は、必ずしも喜ぶべきものではないようです。今後、がん免疫療法分野では、「M2型マクロファージをどうコントロールするか」は、Th1とそれに続くCTLの誘導、Tregの抑制、と同様に重要課題となってきました。
REFERENCES
1. AACR2009 abst.#4137 CD11b+ peripheral blood mononuclear cells with induced M1 and M2 phenotypes demonstrate significantly different gene expression profiles. Chi Ying, Joseph Washburn, James MacDonald, Kenneth J. Pienta. University of Michigan Comprehensive Cancer Center, Ann Arbor, MI.
2. AACR2009 4/21 Symposia
Inflammation and Cancer: Mechanisms Regulationg Pro-tumor Immunity
-- Pulmonary metastasis potentiated by CD4+ T lymphocytes and M2 macrophages. Lisa M. Coussens, Univ. California Comprehensive Cancer Center, San Francisco, CA











