ドクター通信
176 アメリカ癌学会(AACR2009)の話題から-その1
30
Apr
今年のアメリカ癌学会(AACR2009)はコロラド州デンバーにて4月18日から22日まで開催されました。雪のロッキー山脈が美しい遠景をなすアメリカ中西部のでっかい田舎町という雰囲気のデンバーには、約1.7万人が参加したといいますが、第4日目になったらグンと参加者が減少、どの会場も空きが目立つようになっていました。しかし、さすがに学会の中
味は濃いものでした。
以下、その中からがん免疫に関係する話題を何回かにわけてお送りします。
全体としてがん免疫療法は、Phase III trialで成功したものがどの製薬会社の製品でもまだ1つもないため、Rosenbergの養子免疫療法を除いては、元気がありません。Dendreon社のProvengeの最終データの報告がAACR
2009の直後の4月28日から始まるAm. Urol. Assoc.でなされる予定で、それに期待が集まっています。現状は、いかにしてがん免疫抑制系の細胞群(Treg, Th17, Macrophage 2, DC2)とそれらを制御するサイトカイン(IL-10, 他)の影響を避けるか、が重くて大きな課題となっています。
Rosenbergの養子免疫療法については4月21日に講演が2つありました(1, 2)。要点は、以下のとおりです。
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・「がんワクチンには腫瘍の治療効果がほとんどない、CD8+ killerの誘導能のみでは不十分だ(参照:Tumor progression can occur despite the induction of very high levels of self/tumor antigen-specific CD8+
T cells in patients with melanoma. J. Immnol. 175:6169, 2005)。
・ワクチンの臨床試験ではdisease-free adjuvant settingsに可能性がある(現在、「IL-2+peptide」ワクチンでrandomized trialが進行中)。
・ワクチンによる効果のうち、SD(stable disease)の貢献度合いはrandomized trialで評価すべきだ、そのときに様々な種類のsoft criteria を使用したのでは混乱のもとだ、histrical controlと比べるのもバイアスが多すぎる、それでもがん免疫療法の将来にoptimismがあるのは、養子免疫療法で好成績が出ているためだ。
・我々の養子免疫療法では、transfer of large no. of T cells to melanoma patients with TBI(total body irradiation) 1200 cGyを行っている。メラノーマ(n=25)では、72%の奏効率が出ている(2)。
Treatment Total PR CR (%)
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No TBI 43 17 4 (49%)
(77+,45+,34+,29 (75+,70+,60+,59+) 28,14,13,11,8, 8,7,4,3,3,2,2,2)
200 cGy TBI 25 11 2 (52%)
(45+,41+,35+,14, (49+,38+) 10,6,5,5,4,3,3,)
1200 cGy TBI 25 11 7 (72%)
(26+,19+,19+,19+, (29+,19,25+,25+,13,7,6,6,5,4,3) 19+,19+,18+)
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(52 responding patients: 42 had prior IL-2, 21 had prior IL-2 + chemotherapy)
* All patients with metastatic melanoma received a preparative regimen of cyclophosphamide (60mg Kg/day x2d) and fludarabine (25 mg/m2/day x5d) either with no total body irradiation (TBI) or with 200 or 1200 cGy TBI followed by the administration of autologous TIL plus IL-2 (720,000 IU/Kg q 8 h).
(( ))の中がCR症例の生存期間
・これから学ぶべきは、genetically engineered peripheral blood lymphocyteの利用だ(→ Science, 314: 126-9, 2006)。このために使用するTCR geneは、1個のTILが取れればそこから調製し、ウイルスに組み込んで使える。
・我々がRECIST評価法を使っているのはrandomized trialが困難だからだ。
→ 個々の症例ですぐ結果がわかる。もちろん(SD増加による)OS延長、QOL上昇も重要だが、randomized trialで証明しなければならないという面倒さがある。
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CR症例では巨大メラノーマが消失している例のオンパレードがありました。これだけ煽られた会場の聴衆(ほとんどががんワクチン研究者)はシュンとなっていました。Rosenberg自身は、討論の中で、ワクチンの将来性に言及し、「Tolerance and anergyをどうするか、ワクチンはこのチェックポイントを克服できなければならない、我々の養子免疫療
法では手術と同じようなことをやっている(全身放射線照射など)、Tregをselectiveに除去すべきだ、anti-CD25抗体ではTregの約 15%しか排除できない、anti-CD25-immunotoxinが良いかもしれない。」というアイデアを述べていました。
会場では、がんワクチンの効果をアップするため、抗がん剤との併用可能性が議論され、また、ポスターでは動物実験の見事な併用実験結果が示されていましたが、この点の臨床応用については、検討中のところが多いようです。後続のドクター通信にて話題提供します。
☆★ なお、弊社では、Rosenbergの否定するsoft criteriaを逆手にとって、自家がんワクチンの効果を"おおまかに" 計測する手段として使用しています。
ソフトクライテリアは、厳密な学術的批判に耐えうる評価基準ではありませんが、実は、傍で患者をみている家族がびっくりするほどのQOL改善があったというような"ヒトでなければわからない効果"を"おおまかに"計測するには有用だからです。
・その解説はこちらをご覧下さい。
→ http://www.aftvac.com/hc-sc-what.htm
・ソフトクライテリアを用い、自家がんワクチンの効果を「改善率」として数値化した表はこちらにあります。各種のがんを総合してみると、35%の症例でなんらかの改善効果が観測されています。
症例数が増えれば増えるほど、「改善率」の数値の信頼限界は狭まり、信頼性の高い一定の数値に収束していく見込みです。
→ http://www.aftvac.com/vaccine2-2efficacy.htm
REFERENCES
1. AACR2009 4月21日 NCI/NIH-Sponsored Session
"Cancer Vaccines: Do They Work?"
Moderator: Drew M. Pardoll, Johns Hopkins Univ., Baltimore, MD
Speaker: 1) Steven A. Rosenberg, NCI, Bethesda, MD
2.AACR2009 4月21日 #SY35-3 Effective cell transfer therapy for patients with metastatic melanoma. Steven A. Rosenberg. National Cancer Inst., Bethesda, MD








