ドクター通信

168 パラフィン包埋組織からの遺伝子発現検査

16

Feb

がん組織中のがん抗原ペプチドは、ホルマリン固定操作でもほとんどが壊れないことは既に知られていますが、このほど、ホルマリン固定組織でも、定量的なmRNA発現検査が可能であることが示され、しかも、予後と遺伝子発現との相関解析までなされました(1)。

びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫(DLBCL)を対象に,ホルマリン固定パラフィン包埋組織ブロックを用いた遺伝子発現解析を行い,rituximab (R)-CHOP 療法下の生命予後予測に有用な遺伝子を探索した結果、MYC が高発現(至適cutoff 値は>80%),HLA-DRB が低発現(同< 20%)の症例群でoveall survivalが有意に短く、予後不良となることが明らかにされました。

このことは、ホルマリン固定を経たパラフィン組織中でさえ、タンパク以上に不安定とされているmRNAもかなり良い状態で保存されており、遺伝子発現レベルの検討にも耐えうる良好な状態にあることを示しています。

弊社の自家がんワクチンは、ホルマリン固定がん組織を原料に作成しておりますが、(パラフィン包埋ブロックも含めて)ホルマリン固定がん組織中のがん抗原は、十分安定に保たれていると考えられます。

がん組織のパラフィン包埋ブロックを民間検査会社に預けたままにして3ヶ月以上放置した場合、廃棄処分されてしまうことがあります。

医療機関の先生方には、有用な残存がん抗原を有効利用するため、ぜひ、もとの患者様にパラフィン包埋ブロックを返却されますよう、ご配慮の程お願い申し上げます。

REFERENCE

1. Rimsza LM, Leblanc ML, Unger JM, Miller TP, Grogan TM, Persky DO, Martel RR, Sabalos CM, Seligmann B, Braziel RM, Campo E, Rosenwald A, Connors JM, Sehn LH, Johnson N, Gascoyne RD.:Gene expression predicts overall survival in paraffin-embedded tissues of diffuse large B-cell lymphoma treated with R-CHOP. Blood. 2008 Oct 15;112(8):3425-33.