ドクター通信

162 NIHも注目:放射線とがんワクチン療法の併用療法

24

Dec

従前から、筆者らは放射線照射されたがん細胞は、ワクチンによって誘導されたCTLに殺されやすい状態になっているため、放射線と自家がんワクチンの併用は、大きなベネフィットをもたらすはずだと考え、基礎研究の成果を発表してきました(1、acceptがApr 14, 2004)(参照:ドクター通信 from セルメディシン No. 53、2006.7.3発信)。

ほとんど同時に同じ考え方をしたGarnettらの論文(2、acceptがAug 24,2004)が出されましたが、彼らは、放射線量が低くても(nonlytic dose、10 or 20 Gy)、がん細胞はキラー細胞により十分殺されやすい状態になっていると発表しています。

これを受けて、今年のOncology誌 No.9に、放射線とがんワクチン療法の併用法に関する総説がでています(1)。この総説、注目すべきは、米国NIHのNational Cancer Instituteのグループが、明確に、放射線治療とがんワクチン療法は併用すれば相乗的効果が期待できると書いていることです。しかも、照射線量は、必ずしもフルドーズの60Gyである必要はなく、低線量でも良いとしています。

ちなみに、2Gyづつの分割照射で20Gy程度までならば、腸管を含めてほとんどの正常組織が問題なく耐えられるとされておりますので、全身にがん細胞が散らばっている末期で、従来ならば放射線治療がしにくい場所に主病巣がある場合でも、「主病巣に対する低線量照射+がんワクチン」という同時併用療法によって、ワクチンにより体内で誘導されたCTLが、放射線照射で弱った主病巣のがん細胞を殺し、さらに活性化して、主病巣以外の微小がんもたたくというアブスコパル効果が期待できるはずです。

この総説では、このような見通しに添った臨床効果を前立腺がん等で得たという報告が引用され解説されています。

 → この総説の詳細に関するお問い合わせは、メールにて弊社まで
      E-mail: tkb-lab@cell-medicine.com

REFERENCES

1. Ishikawa E, Tsuboi K, Saijo K, Takano S, and Ohno T: X-irradiation to human malignant glioma cells enhances the cytotoxicity of autologous killer lymphocytes under specific conditions. Int. J. Radiation Oncology Biol. Phys. 59: 1505-1512, 2004.

2. Garnett CT, Palena C, Chakarborty M, Tsang KY, Schlom J, Hodge JW: Sublethal Irradiation of Human Tumor Cells Modulates Phenotype Resulting in Enhanced Killing by Cytotoxic T Lymphocytes. Cancer Res 64, 7985?7994, 2004.

3. Hodge JW, et al., Synergizing Radiation Therapy and Immunotherapy for Curing Incurable Cancers - Opportunities and Challenges. Oncology 22(9), 1064-70, 2008.