ドクター通信
154 日本癌学会・癌治療学会の話題から
04
Nov
1.「自家がんワクチン」の肝癌再発予防効果の発表がありました
2.低線量放射線治療の併用について
先週10月28日-11月1日に連続して日本癌学会・日本癌治療学会が名古屋国際会議場で開催されました。そこでの話題を2つお届けします。
1.「自家がんワクチン」の肝癌再発予防効果の発表がありました
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W18-9 自家がんワクチン療法による肝癌の再発予防および進展阻止の試み
古倉 聡1、岡山 哲也1、舟木 準1、松本 次弘1、石川 剛1、半田修1、高木 智久1、内藤 裕二1、吉田 憲正1、吉川 敏一1、中根 一樹2、武田 隆久2
京都府立医科大学 消化器内科1、たけだ免疫遺伝子クリニック2
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の発表が行われ、好評でした。「肝癌切除後、再発予防目的で施行した4例中2例は、治療後3年以上再発を認めていない。再発を認めた2例は、その病変の局所治療後はそれぞれ27カ月、12カ月再再発を認めていない」とのことです。
この結果は、自家がんワクチンによる術後肝がんの再発予防効果をランダマイズドスタディで示した既発表論文、(Kuang, M., et al.: Phase II Randomized Trial of Autologous Formalin-Fixed Tumor Vaccine for Postsurgical Recurrence of Hepatocellular Carcinoma. Clin. Cancer Res. 10: 1574-1579, 2004.)の内容にほぼ合致します。
2.低線量放射線治療の併用について
がん免疫療法関係のセッションでは、主に抗体療法とペプチドワクチンが取り上げられていましたが、10月31日に開催されたイブニングセミナーでは、阪大・杉山治夫先生のWT-1ペプチドワクチンの効果と、セレンクリニックの岡本正人先生の樹状細胞療法の成績が発表されました。
特に後者の発表は、単一の免疫療法ではなく、「定位放射線治療+樹状細胞ワクチン腫瘍内局所注射+OK432腫瘍内局所注射」という集学的治療法であるため、樹状細胞ワクチンの効果が判別しがたい状態でしたが、放射線治療の併用により高い局所制御率を示しておりました。
注目されたのは、定位放射線治療で採用した低線量です。すでに60Gyという最大線量を照射されていた症例であっても、再発部位・転移部位にさらに20Gy~30Gy程度の追加照射を行ってから免疫療法を施行していました。演者はこれで腫瘍局所におけるがん細胞のapoptosisを誘導でき、それが樹状細胞に取り込まれ抗原提示に至るとしています。
遠隔転移巣については制御できない症例も多く、全体としては満足すべき成績とはいえませんが、実地診療では一人一人の患者様に対応するベストの治療法の組み合わせを選ぶべきであり、集学的治療法は避けがたいところです。
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弊社の「自家がんワクチン」療法でも、もし放射線治療が併用可能な状態ならば、局所制御率をできるだけ上げるため(すなわち体内の増殖能のあるがん細胞数を極力減少させるため)、症例によっては低線量照射しかできない状態であっても、積極的に併用すべきだと思われます。
少なくともin vitro実験では、どのようながん細胞株でも4-6GyのX線照射で、コロニー形成能は90%以上失われます(古典的な放射線生物学で示されています)。最悪性の膠芽腫細胞でさえ8Gyも照射すれば、コロニー形成能はほとんど0%になるといわれています。すなわち、大部分のがん細胞が増殖死という状態になり、時間が経つとともにapoptosisまたはnecrosisを起こして細胞死に至ります。
一方、in vivoでは、放射線感受性が高い腸管でも1回2Gyの分割照射で40Gyまでであればなんとか許容範囲とのことです。20-30Gyの照射線量なら、腹部を含めかなり広範囲のがんに照射可能と思われます。しかも20Gyでもかなり高い率で局所制御が可能です。転移性脳腫瘍の場合にガンマナイフでは定位照射約20Gy(を1回で照射する点が異なりますが)で十分高い局所制御率が得られます。
もちろん、20-30Gyの低線量分割照射では完全な局所制御は期待できませんが、ここに「自家がんワクチン」療法を加えることによって大部分のapoptosis/necrosisを起こしたがん細胞(いわば、がん抗原の塊)の体内有効利用を図り、誘導細胞性免疫反応による「局所制御+遠隔転移制御」 の可能性の増大を図る方法が考えられます。
また、もし放射線治療が併用できない場合は、放射線照射に代わる増殖がん細胞数の削減手段を探し、併用していくことが望まれます。








