ドクター通信
159 第5回がんワクチン療法研究会から-その2
28
Nov
先週22日(土)、東京・秋葉原にて第5回がんワクチン療法研究会が開催されました。今回の会では、「低用量化学療法」の効果とがん免疫療法との併用例の検討が主題です。
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会長講演に続いて行われた教育講演は、
「がん休眠療法--免疫療法に相性の良い抗癌剤治療とは--」
で、千葉大・がん分子免疫治療学の高橋豊先生から、がん休眠療法の理論について丁寧な解説がありました。
要点を並べると、
・従来の標準的抗がん剤投与量は、わずか10-15人程度の被験者で決定された最大耐用量(MTD)かその一つ前段階の量を、いきなり誰にでも投与している。お酒に強い人、弱い人がいるのを全く無視してウイスキーのがぶ飲みを強いるようなもので、継続投与が不可能になりやすい。
・継続不能となって投与を中止すると、がんは急速に再増殖する。がん細胞数は指数関数的に増えるため、抗がん剤によりPRを得られていたとしても、中止後はすぐさま元以上の大きさになり増大していく。
[* 筆者注:仮に2日に1回分裂するとすれば、RECIST法でPR(直径が30%減少、体積換算では65%減少にあたる)となっていたとしても、抗がん剤を中止するとわずか4日で4倍となり、元よりも大型化する計算になります。]
・症例ごとに抗がん剤の効果があった期間を調べてみると、がんサイズ等の指標は一旦減少するが、その後定常状態となり、再び上昇してくるパターンとなる。その中では、定常状態期間が最も長く、全体の有効期間を決めている(1, 2)。
・それならば、意図的に定常状態を長引かせるように継続可能な投与量に減量して抗がん剤を投与すれば、延命効果が得られるはずである。
・そこで、まず標準の半量を投与、耐性のある患者は次の段階で増量し、ない患者はさらに減量するという方法を段階が進むごとに繰り返していくという (個別化最大継続可能量、iMRD) 方法(3)によるランダム化臨床試験を行い(4)、投与量の差では生命予後に差がでないことを確かめた(全国的な大規模臨床試験の最終結果は、European Society for Medical Oncology, ESMO2008で報告)。
・低用量抗がん剤の血中濃度を効果が期待できる濃度に保つのが理想だが、実際上は、患者ごとに毒性をグレード 1ないし 2に合わせるように投与すればよい。
・GemcitabineやTS-1は、比較的毒性が低く継続性で優れている。iMRD法をとれば、免疫療法との相性は良いはずだ。
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東大薬学部で11年間にわたり抗がん剤の実習と講義を担当し、あまりの毒性の強さに辟易してすっかり抗がん剤嫌いになっていた筆者にとっては、前号のドクター通信No.158で報告した銀座並木通りクリニック・三好立先生の会長講演とともに、目からウロコの講演でした。
ドクター通信の次号では、今回のがんワクチン療法研究会で発表された、低用量化学療法(GemcitabineやTS-1だけではありません)と自家がんワクチン療法を併用し優れた効果が認められた実際の症例について報告します。
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REFERENCES
1.Takahashi Y, Nishioka K. Survival without tumor shrinkage: re-evaluation of survival gain by cytostatic effect of chemotherapy.
J Natl Cancer Inst. 1995 Aug 16;87(16):1262-3.
2.Takahashi Y, Mai M, Taguchi T, Urushizaki I, Nishioka K.
Prolonged stable disease effects survival in patients with solid gastric tumor: analysis of phase II studies of doxifluridine.
Int J Oncol. 2000 Aug;17(2):285-9.
3.Takahashi Y, Mai M, Sawabu N, Nishioka K.
A pilot study of individualized maximum repeatable dose (iMRD), a new dose finding system, of weekly gemcitabine for patients with metastatic pancreas cancer.
Pancreas. 2005 Apr;30(3):206-10.
4.Takahashi Y, Takeuchi T, Sakamoto J, Mai M, Kitajima M, Kubota T, Toge T, Saji S.
[A randomized phase II clinical trial of tailored CPT-11 + TS-1 vs TS-1 in patients with advanced or recurrent gastric carcinoma as the first-line chemotherapy (JFMC31-0301)]
癌と化学療法. 2004 Nov;31(12):1969-72.








