ドクター通信
158 第5回がんワクチン療法研究会から-その1
28
Nov
先週22日(土)、東京・秋葉原にて第5回がんワクチン療法研究会が開催されました。この会は、実地の臨床医の立場から、がんワクチン療法をいかに利用すれば効果的かという観点から検討する研究会です。
(研究会のホームページは → http://www.ascavath.org/ )
今回の会では、「低用量化学療法」の効果とがん免疫療法との併用例の検討が主題に取り上げられました。
--------------------------
最初に今回の学術集会の会長、銀座並木通りクリニック・三好立先生から、
「銀座並木通りクリニックの治療の紹介と症例提示」
と題する会長講演がありました。
驚いたのは、最末期のがん症例でも、標準的な投与量の1/10~1/5という低用量の抗がん剤投与から始め、患者個人個人ごとに最適投与量を微調整すると、それまで急上昇していた腫瘍マーカーの上昇カーブがぴたりと水平になってしまうことでした。「がん休眠療法」です。
これほどの低用量については、「何じゃそりゃ、効くわけがないだろ」と医師仲間に批判されたということです。しかし、低用量であれば、一般的な抗がん剤につきものの強い副作用は全くといえるほどありません。大病院から見放され、もはや打つ手なしとされたStage IVのがん患者(いわゆる"がん難民")でも、すぐに元気を回復します。またこれほどの低用量なら、自由診療ベースでも保険診療による標準治療よりも安上がりとなり得ます。
休眠療法を施行した症例総数89例中、RECIST法評価でCR+PR+SDは46%、1ヶ月以上のSD例を含めて何らかの効果があった症例(ソフトクライテリア評価)が54%となっていました。
もちろん、この方法ではがんが快方に向かうわけではありません。しかし、誰でもQOLが劇的に向上するのは明らかで、元気を回復した患者は毎週外来に通院し、最後まで通常の生活レベルを維持できます。なかには、亡くなる3日前まで毎週自力で平常どおり通院していたという記録があるそうです。講演ではこのような休眠がん症例が多数示されました。
この背景には、がん治療におけるフィロソフィーの大転換があります。
三好先生の治療効果の評価基準はきわめて単純で、治療により「がんに勝つ」か、「負ける」か、「引き分け」か、の3種類です。また、治療目標は標準療法のような勝ち(CR, PR)を目指さず、「引き分けでいいじゃないか」(すなわち、SDで十分だ)というものです。
しかも、ここに「自家がんワクチン」を併用したところ(休眠療法併用9例)中、大型がんの傍大動脈リンパ節メタが9ヶ月間にわたって縮小、明らかなPR症例が1例発生しました。
すなわち、標準療法から見放された末期がんにおいても、あきらめる必要はなく、「低用量抗がん剤+自家がんワクチン療法」の可能性がまだ残されていることを示す画期的な例です。
(この〔症例0621〕と画像は、弊社ホームページに掲載されています → こちらです)
がん休眠療法は現時点ではエビデンスが十分でないとされ、"効かない"などと一蹴されがちですが、この方法の理論的根拠と、大規模臨床試験による「標準的化学療法に劣らない延命効果がある」という確固たるエビデンスを、今回の教育講演で千葉大・高橋豊先生が示されました。
(この内容はドクター通信の次号-その2-で紹介します)
銀座並木通りクリニックでは、癌研にて最先端の抗がん剤開発に長らく従事してきたプロフェッショナルを顧問に迎え、患者一人一人の状態に合わせた抗がん剤の種類と用量選択について、適切な助言を得られる体制を整えています。
このような「個の医療」体制整備も、SDを超える自家がんワクチンの効果を引き出した成績につながっているものと思われます。








