ドクター通信
151 最新のがん免疫セミナーから
01
Oct
「次世代がん免疫療法における臨床効果と今後の展開」と題するセミナーが9月25日に東大・武田ホールで開催されました。このセミナーは、学会で聞いている先端の話題をまとめて再考するには良い機会でした。
全体の概括とイントロダクションで、三重大・珠玖洋先生により、ヒトがん組織中のkiller T細胞(Teff)/regulatory T細胞(Treg)の比が、臨床での生存率と相関があるとの紹介があり(→ Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 Dec 20;102(51):18538-43. Epub 2005 Dec 12)、がん免疫療法においては、Tregの抑制が重要だとの指摘がありました。
以下は、「基調講演1.制御性T細胞を標的とした癌免疫の可能性について」(京大・坂口志文先生)を聞いた筆者の要約です。間違いがあればご容赦願いますが、すべてマウス実験の成果です。
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がん組織中には末梢血中の存在比よりも多くのTregが入ってきている。Teffが7.6%のとき、Tregは31.5%もあった。Tregは、がん組織中に集まっているのがメジャーポピュレーションである。がんは軽い炎症状態であり、炎症組織に発生するnon-specificなchemokineなどに応答するTregはがんに集まりやすい性質がある。
(筆者注:ヒトTregはケモカインレセプターのCCR4を強く発現、抗CCR4抗体で殺せます)。
Tregは常時CTLA-4分子を発現。抗CTLA-4抗体全身投与では自己免疫疾患を引き起こすが、これをがん組織中に直接注入すると、がん退縮は起こしても自己免疫疾患は起きない。CTLA-4ノックアウトマウスからCTLA-4欠損Tregを単離すると、その細胞はin vitroでも免疫応答を抑制できない。従って、CTLA-4分子の発現は自己免疫寛容に必須なのではないか。
抗CTLA-4抗体(blocking作用のある抗体でtumor形成初期に効く)だけではなく抗GITR抗体(agonistic作用のある抗体でTreg特異的、この抗体はtumorが一旦大きくなったときによく効く)をプラスすると強いtumor regressionを惹起し、しかも自己免疫疾患は起きない。抗FR4抗体ではdepleting/blocking抗体で、Treg特異的)、一層強いtumor regressionを誘導できる。
(筆者注:TregとTeffは局所のリンパ球に必須なサイトカインIL-2を奪い合うが、Tregの持つIL-2Rの方がTeffのIL-2Rよりも強いため、TregによるTeffの活性抑制が起こることが判っています。しかしこのメカニズムだけではないようです。CTLA-4、GITR、FR4等の分子がどのような作用をしているのか、興味のあるところです。)
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