ドクター通信
142 基盤的癌免疫研究会の話題から--その2
09
Jul
7月2-3日に大宮ソニックシティで、表記の研究会が開催されました。前号No. 141に続いてお送りします。
以下は、筆者の印象に残った演題です。
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「ワークショップ:癌ワクチン療法の標準化を目指して」から
●NY-ESO-1癌ワクチン療法第一相臨床試験におけるモニタリング結果と臨床反応
(阪大・和田尚ら)
CHP-NY-ESO-1ワクチンで、7/8例に抗体価上昇、NY-ESO-1反応性CD4、CD8の増加を認めている。これでモニタリング成功かというとそうではない。ワクチン終了後に組織摘出ができた4例中、「早期に腫瘍増殖、その後縮小」した食道癌1例でも、壊死と増殖を示す組織が混在しており、結果的に再発。この1例以外には腫瘍縮小という明らかな臨床効果を示した例はない。SD例が多いが、それをどうモニタリングで見分けるかが難しい。
フロアから、「CD45RO+をTIL中で測定すべきだ。OSとの相関があるという論文が出ている」とのコメントがあったが、TILが取れるほどの癌組織量となると、手術が必要であり、ほとんどの症例では無理ではないか。血液モニタリングで済ます方法が開発されないと使いやすいモニタリング方法にならないようだ。
●MVAC耐性進行・再発膀胱癌に対するテーラーメイド癌ペプチドワクチン療法の経験
(北里大・松本和将ら)
MVACと放射線治療では、膀胱癌が消えることは稀。これで増殖してきた耐性症例に、MVAC+ペプチドワクチン療法(1クールは12回/12週)を行ったもの。4例中CR1、PR1が出ている。一旦悪化し、その後縮小に転じている。少数例の研究だが「ワクチン+抗癌剤」で併用効果があることを示している。
●消化器癌に対するWT1ペプチドワクチン療法の現状と将来に向けての方向性
(阪大・西田純幸ら)
標準療法耐性の大腸がんを対象に、週1回、12回を1クールとしているワクチン療法。SDが5/15例で出ている。CR, PRはない。なおDTH反応を見ており、陽転例では有意にSDになっている。
DTH(+)例 DTH(-)例
SD 6 0
PD 1 8
χ^2検定でp=0.0007
膵臓がんでは、WT1ワクチン+Gemcitabine併用で1/4例で効果が出ていた。これは今後、自家がんワクチンでも検討する価値がある。
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一般演題から
●放射線照射で誘導される癌特異的CTLを用いた新規免疫治療法の開発
(北海道大学)武島嗣英、西村孝司ほか
放射線治療(RT)による腫瘍特異的CTLの誘導についてマウスで検討。RTにより、腫瘍特異的CTLの誘導がみられたが、リンパ球中のCD8を除去したり、所属リンパ節を除去すると腫瘍増殖の抑制が落ちることから、CD8分画と所属リンパ節が重要であると考えられる。ただし、TregはRTに耐性で照射後の回復も早いとの考察もあった。
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