ドクター通信

139 米国臨床腫瘍学会(ASCO2008)から-3

20

Jun

 前回のドクター通信:(ASCO2008)から-1、-2に引き続きお送りします。今回は、一般演題から見つけ出した、がんワクチンと抗がん剤との併用研究の特集です。

 自家がんワクチンも含め、従来は、免疫刺激剤と化学療法剤との併用は禁忌と一般的に考えられてきました。免疫担当細胞の増殖を化学療法剤が阻害するからです。しかし、臨床研究でも、動物実験でも、併用した方が成績が良いという報告が出始めております。

 まだ、大規模臨床試験ではなく、断言はできかねますが、がんワクチンによって体内誘導される免疫反応においても、化学療法剤を注意深く使えば、併用した方がかえって有利になる場合がありそうです。

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#3035 PANVAC vaccine alone or with docetaxel for patients with metastatic breast cancer. M. Mohebtash et al. NCI

 PANVACワクチン;癌抗原のMUC1とCEA、アジュバント作用のあるB7.1、ICAM-1、LFA-3を組み込んだリコンビナントpox-virusワクチン。転移乳癌で本ワクチン単独およびワクチン+タキソテール併用の効果を比較。
  タキソテールの用量は、
   35mg/m^2 weekly×3(通常の用量は60mg/m^2/3-4 weeks)。
  臨床効果;
   ワクチン単独群 3/16=23%
    (脊椎転移巣の縮小+痛み軽減、肝転移巣、RECIST基準でPR)。
   ワクチン+タキソテール群 5/6=83%
    (RECIST基準でPR、胸壁転移巣径50%縮小、
     骨転移巣の12ヶ月間改善、19ヶ月間DFS)。

結論;ワクチン単独、ワクチン+タキソテールのどちらでも効果が認められ、特に併用では良い結果でした(しかし、症例数が少なく、検証のための追加症例が必要)。


#3049 LPS activated DC vaccine in combination with immunomodulatory dose of cyclophosphamide in patients with stage 4 melanoma: Preliminary report from the phase 1/2a clinical trial. A.K.Palucka et al. Baylor Inst. for Immu. Res., Dallas.

 Autologous DCワクチン;死滅allogeneicメラノーマ細胞をLPS存在下にて患者DCに接触。
  患者;Stage4のメラノーマ、300mg/m^2のサイクロフォスファミド(通常は500mg/m2を3週毎)とDCワクチンを投与。
  結果:これまで3例登録、安全性上の問題は見られていない。1名でRECIST基準でPR。


#3060 Effect of vaccination on immune and clinical response in glioblastoma multiform patients. C.J.Wheeler et al. Cedars-Sinai Medical Center, LA

 ワクチン;900mgの自己腫瘍lysateを10-40×10^6 cellsの自己DCに添加。
  患者;GBM患者34名、術後15週からDCワクチンを3回(2週間隔)、6週後に1回。
  結果;IFN-γ産生がワクチン前より1.5倍以上に増加した症例をresponder (18名)、それ以下をnon-responder(16名)に分け、生存を比較。Median Survivalはres群642日、non-res群430d(p=0.041)。
  この内23名はワクチン後の再発に化療(テモゾロマイド)追加。
  ワクチン治療後TTP(テモゾロ開始まで)=195±24日
  テモゾロ開始後TTS=383±64日

(術後15週=105日後からワクチン開始、ワクチン期間平均195日、その後の化療期間383日を通算すれば683日;約1.9年となる。)

 有効症例として、術後187日にワクチン治療増悪、その後化療で術後745日(化療後558日後)にCR。
  また、ワクチン前化療とワクチン後化療とのTTP比較では、後者が優れていました。これはワクチンによりがん細胞の化療感受性が高まったのではないかと推察されます。

#3064 Treg depletion by low-dose temozolomide.
A.F. Carpentier et al. Hopital Avicenne, Paris, Fr.

 実験モデル;グリオーマ細胞(RG2)を皮下移植したラットにテモゾロマイド30mg/kg/day (=90mg/m^2/day)で5日間、10mg/kg/dayで21日間経口投与、2mg/kg/d(=6mg/m^2/d)および0.5mg/kg/d(=105mg/m2/d)で21日間(参考:ヒトでは75mg/m^2/dを42日間)。

 結果;
   テモゾロ非投与時の脾臓中Treg%
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   担癌 18.9±4.6、 非担癌 14.2±4.0


  テモゾロ投与時のTreg %
   ------------------------------------------------
   用量     Treg%      p  
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  Control 18.9±4.6
   0.5mg/kg 12.7±1.7    <0.01
  2mg/kg    14.4±3.2    <0.05
  10mg/kg 18.5±4.7   0.77
  30mg/kg 16.5±3.0   0.43
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  テモゾロマイド低用量では、Tregの割合が減少しています。