ドクター通信
132 米国癌学会2008のトピックスから -その3-
07
May
今年の4月12-16日に、サンディエゴで開催された米国癌学会(AACR2008)で出ていた話題から、がん免疫療法関係について、-その1- に続けてお届けします。
REFERENCEは、abstract CD-ROMからの引用です。ただし、シンポジウム (#SY番号のシリーズ)ではabstractを提出していないという例が多数あ りました。
(5) ペプチドワクチンではescape cloneの発生は避けられない ?!
正常細胞では、細胞分裂の際、染色体のテロメア部分のDNA配列がだんだん短くなっていくことが細胞老化現象の一つとして知られています。そのDNA配列を伸長する酵素がテロメラーゼで、がん細胞では活性が非常に高いという特徴があります。これに目をつけ、テロメラーゼのERT572y, TERT572を用いた9merペプチドワクチンVx-001を作成、臨床投与した成績が報告されました。
このワクチンは、各種のがん90例(30例は肺癌)のうち、IFNg ELISPOT assayで79%の症例が(+)になるほど抗原性の強いワクチンで、%survival でみるとp=0.048となっていましたが、Kaplan-Meyerカーブの末尾は対照群のカーブと交差していて、最終的な生存率は同率になっていました。
結局、特定のペプチドを抗原とするワクチンでは、いくら抗原性の高いぺプチドを選んでも、がん細胞側のescape cloneの発生は避けられず、患者は死亡に至るというデータと思われます。
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ペプチド合成で安価に作成でき、大量の抗原を提供できるるのがペプチドワクチンの特徴ですが、投与できる抗原ペプチドの種類はどうしても限定されてしまい、カバーできる抗原ペプチドの範囲に"漏れ"が生じます。
一方、当該患者のがん組織自体を抗原原料としているため、抗原提示細胞内でその患者特有の「未知のがん抗原ペプチド」をも作らせることができるのが、「自家がんワクチン」の特徴です。ペプチドワクチンと組み合わせて、体内に提供するがん抗原ペプチドの種類に、できる限り"漏れ"がないようにするのも今後の課題の一つと思われます。
(6) AACR内にCancer Immunology Working Groupが発足
今回のAACRでは、4月14日の夜に、2007年にAACR内に立ち上げたCancer Immunology Working GroupのTown Meetingがありました。
発足の趣旨は、AACR内でCancer Immunologyの研究をもっと強化しようというものです。その活動第1弾はすでに行われいて、NCI Immunotherapy Workshopという形で結実しています。
→ http://web.ncifcrf.gov/research/brb/workshops.asp
その内容は、
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ワクチン開発は多種多様すぎて相互比較ができない。これに使われているアジュバントはバラエティに富んでいるがその開発については、
FDA: not effective as monotherapy
Industry: invisible hand of the market
ということで誰もやらない。「Why aren't adjuvants available?」という疑問から、NCIのWeb siteで募集したら124種もアジュバント候補物質が挙げられ、どれが優れているかわからない。そこでJuly 12, 2007にWorkshopをやって、商業化しているものを除いて参加者で投票しranked list
を作った。このリストの上から順に使い、どのアジュバントがいいか、各自データを出し、学会で比較討論して、使いやすい優れたアジュバントを決めて製品化を促進しようじゃないか
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というものです。
しかし、既存の有力なアジュバント:Monophophoryl lipid A、抗CTLA-4抗体、GM-CSF、INFg等は商品化されている(か、されつつある)ため、このリストからは除外されています。
2. #2541 Immune responses in cancer patients after vaccination with the therapeutic telomerase-specific vaccine Vx-001. E.K Vetsika1, et al., University of Crete, Heraklion, Greece
REFERENCE
1. 4/14 Minisymposia: Clinical Research 9. Report of the NCI Immunotherapy Agent Workshop to develop a ranked list of agents with high potential for use in treating cancer. Martin A. Cheever (no abst.)








