ドクター通信
122 マルチターゲット型分子標的薬sunitinibの副作用とWikipediaの情報
14
Feb
Sunitinib(商品名スーテント)は、各種のレセプターチロジンキナーゼの活性阻害をするマルチターゲット型の分子標的薬で、腫瘍血管造成も阻害するため、既に米国では、腎癌(RCC)とグリベック(imatinib)抵抗性の消化管間質腫瘍(GIST)の治療用に2006年1月26日に認可されています。
しかし、昨日発信のASCOからのニュースで、sunitinibは15%の腎癌症例で心不全を発生させる副作用があると警告されました(同日発信のロイター通信にも出ています)。
一方、Wikipediaはインターネット上の巨大な百科事典で、sunitinibの項を見ると(日本時間で2月14日9:30)、その中のsafetyのサブ項目中で既に"Sutent has also been shown to damage heart cells.[9]"との警告が記載されています。
→ http://en.wikipedia.org/wiki/Sunitinib#Mechanism_of_action
筆者が驚いたのは、このRef.[9]は2月13日発信のロイター通信を引用しており、ASCOのGenitourinary Cancers Symposiumでその日に発表されたばかりの内容でした。
Wikipediaは、世界中から誰でも書き込みが可能なため、信頼性に欠けるところがあるとされていましたが、実は誰でも更新が可能なゆえに、間違いや新規情報があると速やかに修正更新されるという特徴があり、速報性と情報量の多さにおいては、もはや紙ベースの辞典の比ではありません。
今回の事例をみても、分子標的薬に関係する研究者がその日のうちにWikipediaのsunitinibの項目を更新したとしか思えません。科学の世界でもWikipediaから目が離せなくなったと思われます。








