ドクター通信
117 皆のためのデータ vs. 個々人の治療
08
Jan
治療困難な疾病の場合、新しい薬(少なくともその候補)があれば、誰しも試してみたいと考えると思います。しかもその疾病がガンとなれば、患者側の持ち時間が少ないだけに、待てない患者のための未承認薬の取り扱いは微妙な問題をはらみます。
米国では「医師が推奨する実験的薬剤を使えば命が助かる可能性があったにもかかわらず、政府の規制によってその薬を入手できなかった。このことは憲法で保障されている生存権を侵害するものだ」と主張する患者側が、FDAを相手に訴訟を起こしています(Ref. 1)。
「治験薬と患者の権利」と題するこの記事では、「皆のためのデータ取得」を優先すべきなのか(つまり、承認までの長い長い道のりを待てというのか)、それとも「個々人の治療」を優先すべきなのか(待ちきれない患者のために治験完了前の使用を容認すべきなのか)の点について、よく争点が整理されています。
これに対する米国最高裁の判断がこれから出されると思いますが、医学・医療分野でこれまでで最も重要な判決の一つとなるかもしれないと考えられています。
REFERENCE
1. B. L. ベンダリー、「治験薬と患者の権利」、日経サイエンス2008年2月号、pp. 60-68.








