ドクター通信

116 血中がん細胞(CTC)の高感度マイクロチップ解析

25

Dec

(1) 血中がん細胞(CTC)の高感度マイクロチップ解析

 以前から、このドクター通信で、主に乳がん細胞を中心に血中がん細胞(circulating tumor cell, CTC)検出の話題を提供してきました。
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 No. 8 (2005. 8.17):乳癌"完治"後、20年以上もがん細胞が血中をめぐっている
 No.39 (2006.03.24):JA尾道総合病院:乳癌について新しい臨床研究を計画
 No.49 (2006.05.30):乳癌のCTC検査に関する臨床研究を中断・延期
 No.114 (2007.12.13):アップデートされたASCO推奨乳がん腫瘍マーカー
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 しかし、臨床の現場では、たとえば初発乳がん術後でもCTCがいるかいないかの検出が十分できない限り実用性はないと判断され、とある臨床研究も中止された経緯があります。また、ASCO2007でも新規乳がんマーカーとしては証拠不十分で採択されておりません。

 12月20日発行のNatureに、従来法のような遠心分離工程などを含まないワンステップのマイクロチップ法('CTC-chip')が発表されました(Ref. 1)。

 これはカード状チップに細い溝と微小突起を作り、流した血液が層流となるように制御した部分に抗体(今回は抗EpCAM)をつけておき、そこにがん細胞をトラップして検出するという方法です。細胞のトラップ可能なマイクロポスト(微小突起、そのすき間を細胞が流れる)は78,000ヶ所あります。

 前立腺がん、膵がん、乳がん、大腸がんの転移症例116例中115例(99%)でCTCsが検出されています(5~1,281個/ml)。従来法では最低7.5mlの血液を使用して1個が検出限界でしたから、桁違いに高感度化がされております。著者らによれば検出限界は、1 target cell in 1 billion blood cellsとのことです。

 そのため、早期前立腺がん症例でも7例中7例で検出されております。また、治療後の画像上の腫瘍サイズ変化にともなってCTC数が変化することも判明しております。しかも健常人の血液からは、CTCは全く検出されておりません。

 今後、この検出技術は、各種抗体の組み合わせ応用等、急速な技術展開をもたらすと思われ、がん検診に多大の影響を与えるものと考えられます。

REFERENCE

1. Nagrath S, et al., Isolation of rare circulating tumour cells in cancer patients by microchip technology. Nature 450, 1235-1239 (20 December 2007)doi:10.1038/nature06385.