ドクター通信
096 乳がん:乳房温存療法後の放射線治療
28
Jun
臨床医向けにホットな論点を提供していNature Clinical Practice ONCOLOGY誌では、今年の6月号で、乳がんで乳房温存手術後の放射線治療の方式を話題に取り上げています(1)。
標準治療としては、現在は接線対向二門照射によるwhole-breast radiotherapyが採用されており、(→ http://web.sapmed.ac.jp/radiol/guideline/breast.html)
広く普及していますが、これに対してpartial-breast irradiation(PBI)の可能性を話題にしています。
既に、全乳房および領域リンパ節を含む広範囲照射と腫瘍局所に限局した照射の比較では、Christie 病院のランダム化比較試験で、65ヶ月における局所再発率はそれぞれ11%と20%となり、明らかに広範囲照射が有用でした(2、1993年の古典的報告です)。
しかし、これで勝負あったと思うのは早すぎるというのです。通常の照射は累積50Gyなら25 fraction、60Gyなら30 fractionにしますので、1ヶ月以上はかかります。
これを、1回あたり3.4~3.85Gyとし、6時間おきに1日2回PBI照射、わずか5日間で34~38.5Gyで終了してしまったところ、2-3年の短い経過観察期間でも、既に優れた局所制御効果と美容上の好結果を示しているとしています(3)。
この集中的で少ない照射線量はbrachytherapyの経験から選ばれたものですが、小線源を局所に埋め込む手術を要するbrachytherapyよりは、浸襲性がないだけに、PBIが明らかに優れています。
このようなPBIが、数年後にwhole-breast radiotherapyの効果と変わらないという結果になれば(その証明が出るまでは待たねばなりませんが)、遠隔地など毎日の通院が困難な患者様には朗報となります。新しい標準治療法に育っていけるなら、さらに原発乳がんにも適用が拡大さ
れていくだろうと思われます。
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とここまでならば、放射線科領域だけの話にとどまります。どうしても残ってしまうであろう"11%"の局所再発率を潰していくには、放射線照射とは全く原理の異なるがん治療法をさらに重ねていく必要があろうと容易に想像できます。
ここに、摘出乳がん組織を材料にした「自家がんワクチン」療法を、照射後のダメ押しとして追加するというチャンスが残されているのではないでしょうか。乳がん再発に強い不安感を持ちつつも、抗癌剤の副作用を懸念する患者様は非常に多いのですから。
REFERENCES
1. Formenti SC. External-beam-based partial-breast irradiation.
Nature Clin. Practice Oncol., 4: 326-327, 2007.
2. Ribeiro GG, Magee B, Swindell R, et al. The Christie Hospital
breast conservation trial: an update at 8 years from inception.
Clin Oncol (R Coll Radiol) 5(5): 278-283, 1993.
3. Vicini FA et al. A phase I/II trial to evaluate three-
dimensional conformal radiation therapy confined to the region
of the lumpectomy cavity for Stage I/II breast carcinoma:
Initial report of feasibility and reproducibility of Radiation
Therapy Oncology Group (RTOG) Study 0319. Int J Radiat Oncol
Biol Phys 63: 1531-1537, 2005.








