ドクター通信

089 1.アメリカ癌学会のトレンド 2.日本癌学会の締切りは5月9日

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May

1.アメリカ癌学会のトレンド

 今年4月14日より18日まで、アメリカ癌学会(AACR 2007)がロサンゼルスで開催されました。筆者は主にがん免疫関係の演題を聴講しましたが、以下はその全体のトレンド報告です。

 がん組織におけるimmune suppressionのメカニズム解析が急速に進んでおり、suppressorをいかに抑制するかがの話題の中心となっていました。

 その出発点となるのは、がん局所に免疫反応を抑制する細胞の集積が見られ、それががん免疫反応の邪魔になっているのが、もはや疑いのない事実として認識されてきたためです。

 例えば、前々から、がん組織中に浸潤したT細胞(TIL)を増殖培養した場合、TIL中の抑制性T細胞(Treg)が増えている可能性が指摘されていましたが、卵巣がん症例の腹水からTILを採取して増殖培養すると、確かに、CD4+CD25high+FoxP3+ Tregsの割合が増えていること、しかも、卵巣がん再発例では一層その傾向が強いことが統計学的有意差をもって明瞭に指摘されていました(Poster #222)。

 つまり、少なくとも末期卵巣がんでは、「培養リンパ球を用いた免疫細胞療法はかえって良くない結果をもたらす」可能性が高いことを示唆しています。

 また、がん局所での免疫抑制反応が単に抑制性T細胞(Treg)によるものだけではなく、一つの細胞が複数のシグナルを他の細胞に出しており、その中にはcytotoxic T lymphocytes(CTL)を刺激する方向と抑制する方向の2種類が同時にあり、それらのバランスが非常に複雑な系で制御されている話題がいくつも出ていました。

 いわゆるマクロファージが免疫反応のsuppressor活性があることは昔から言われていましたが、マウス実験で、myeloid suppressor cells (MSC;研究者によるがmyeloid-derived suppressor cells, MDSCという場合が多い)とTregをtumor-draining lymph node から分離し、Tregが入っているCD25+ T細胞群を体内からdepleteしても、体外からキラー細胞を注入する養子免疫法ではがん細胞の肺メタを抑制できないが、MSCが入っているCD11b+Gr-1+細胞群をdepleteすると、養子免疫療法が成功することから、MSCの方がTregよりも阻害活性が強いことを示したポスター(#218)もありました。

 このMSCは未熟な単球系細胞で、マクロファージ・樹状細胞と極めて近い細胞種です。局所ではキラーリンパ球群、抑制系リンパ球群、免疫反応促進系/抑制系の単球系細胞群が入り乱れ、全体としてオーケストラを奏でるように、がん免疫反応が起こっているようです。このような捉え方が発表者からでていました。

 また、がんワクチン関係の演題がポスター発表でもシンポジウムでも急に増えています。Immunotherapy and Cancer Vaccinesというポスターセッションが3つ、ミニシンポジウムが1つありました。その他、Clinical Researchのセッションが22個にも増えていて、そのうち1つがvaccineで2つがimmunology関係でした。

 がんワクチン関係では、特に昨年に比べて臨床で有効だという報告が多く、マウス実験レベルの報告は相対的に減少していました。すでに様々なタイプのがんワクチンがPhase I/II試験に入っていますが、従来は有効性が確立されたがんワクチンとしては、anti-HBVワクチン(肝癌発生を減少させる)とanti-papiloma virusワクチン(子宮頚部がん発生を抑制する)しかなかったのに対し、Dendreon社の前立腺がんに対する樹状細(DC)
ワクチンがまもなくFDAで承認される見込みとなったのが刺激材料になっているようで、何人ものシンポジストが最初の方のスライドで引用していました。

 ペプチドワクチンでは、1種類のペプチドをテストする時代は過ぎ、4種類を混合して適用しておりました。来年からはPhase II/IIIの発表が増えるだろうと思われます。

 さらに、ワクチンを抗がん剤・放射線などの治療法と同時併用する研究も複数あり、ほとんどが大型残存がん治療ではなく、術後再発抑制、転移抑制を狙っていました。臨床の経験を積み、免疫療法の限界に皆が気がついたという証拠だろうと思います。典型的なのは、Immunotherapyのシンポの座長(Cheever, MA)が、「Effectorを増やせ、それができなければtargetを減らせ」と言っていたことに現れています。

 GlaxoSmithKline社ではminimal residual diseaseの治療用としてcancer vaccineを位置づけていおりました。また、GM-CSF遺伝子を組み込んだ自家がん細胞を使うGVAXワクチンは、いろいろながん種を取り混ぜ約20%の症例で5年以上の生存率を達成していまた。

 それでも、Thomas-Jefferson Univ.のDt. Takami Satoによれば、がんの臨床的なデータはASCOに移っていて、また、ASCOでは積極的に基礎研究の発表を取り込んでいるため、ASCOは巨大化し、AACR全体としては縮み傾向にあるとのことでした。


2.日本癌学会の締切りは5月9日

 第66回日本癌学会は、今年の10月3-5日に横浜で開催されます。今回の大きな特徴は、アジア地域からの参加者を特に意識したのではないかと思いますが、「国際化」の方針を強く打ち出しており、抄録はすべて英語で提出することになっています。

 抄録の提出締め切りは、5月9日です。
 以下は、日本癌学会からのアナウンスメントです。

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The 66th Annual Meeting of the Japanese Cancer Association

Teamwork for Effective Reduction of Cancer

Date: October 3-5, 2007

Venue: PACIFICO YOKOHAMA, Yokohama, Japan

Abstract submission deadline: May 9, 2007


The Japanese Cancer Association is pleased to announce the 66th Annual Meeting of the Japanese Cancer Association, which will take place in Yokohama, Japan, from October 3-5, 2007.

We, the organizingcommittee of the 66th JCA, will make every effort toward increased collaboration in research with leading researchersmainly in Asia but also in Europe and the U.S.

>From this annual meeting, we will have "International Sessions" of which the official language is English. Also, the Proceeding, poster, and PowerPoint materials will be made in English.

We encourage AACR members tosubmit abstracts to the 66th JCA from all over the world.

Detailed information regarding the program and schedule is available on our web site.

Please note that the deadline for abstract submissions is coming soon on May 9, 2007

If you need assistance for abstract submission, please do not hesitate to contact us at jca2007endai@convention.jp.

This conference will be an exciting opportunity for each participant to receive up-to-date studies of the cancer research.
It will take place in Yokohama, the neighboring city of Tokyo, and the conference site can be reached by train in less than 2 hours from the Narita International Airport. We are looking forward to receiving your abstract and registration soon for this exciting
program, and to seeing you in Yokohama!

Sincerely,

Takashi Tsuruo, Ph.D.
President, The 66th Annual Meeting of the Japanese Cancer Association

Director, Cancer Chemotherapy Center, Japanese Foundation for Cancer Research