ドクター通信

078 イヌの自然発生ガン

15

Jan

今週到着した日経サイエンス3月号にイヌの自然発生ガンは、ヒトの場合のよいモデルになるとの記事が出ています(1)。

 特定の犬種は特定のガンにかかりやすく、コリーでは鼻腔癌、ゴールデンリトリーバーではリンパ腫、ロットワイラーでは骨肉腫、チャウチャウでは胃癌、ボクサーでは脳腫瘍、スコティッシュテリアでは膀胱癌が知られています。

 ヒトの10代の患者に多い骨肉種の肺転移はイヌでも同じパターンで見られます。特に注目すべきは、ヒト用と同様な高精度のCT検査で発見できなかった肺転移が剖検では多数認められ、CT画像上では著しく過小評価していた点です。

 すなわち、CT画像で転移巣が検出された時点では、肺転移はもっと広範にあると考えなければなりません。この点からも、術後で摘出がん組織がある場合は、微小転移の治療と再発予防のために「自家がんワクチン」の接種にご配慮下さい。

 イヌでは、すでに第3回がんワクチン療法研究会で、(ヒト用と製造法と組成が違いますが原理的には同じホルマリン固定ガン組織を用いた)自家がんワクチンによる乳ガン症例の延命効果が報告されています(2)。


REFERENCE

1. ウォーターズ DJ、ウィルダシン K:愛犬が教えてくれるガン治療の手がかり、日経サイエンス、2007(3), 80-88.

2. 岡本芳晴1)、上田貴志1)、岡村泰彦2)、柄 武志3)、実方 剛4)、南 三郎2)(1鳥取大獣医神経病・腫瘍、2鳥取大獣医外科、3鳥取大獣医画像診断、4鳥取大獣医感染症)「イヌ、ネコの自然発症腫瘍に対する自家がんワクチンの有効性:120例」、第3回がんワクチン療法研究会、2006.11.4、東京.