ドクター通信

075 大腸がん-病理診断よりも免疫細胞集積の方が予後を占う

05

Jan

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、今年早々、1月号のNATURE CLINICAL PRACTICE GASTROENTEROLOGY & HEPATOLOGY誌のハイライト欄に、大腸がんの予後は、伝統的な腫瘍病理組織診断によるよりも、がん組織内ないし辺縁部への免疫細胞の集積度が予後に反比例するというニュースが出ています(1)。

 ニュースのもとになったオリジナル論文(2)によれば、in situ免疫染色で、CD3+, CD45RO+メモリーT細胞ががん組織内/辺縁部に少ない症例は予後が悪く、多い症例は予後が相対的によいとされています。どの程度in situで免疫反応が起こっているかが、リンパ節転移の程度や局所における癌の進行度に関係なく、むしろ予後によく相関するとのことです。

 Multivariate analysisによれば、Overall Survivalとの間では、CD3+ T細胞密度が唯一相関し、通常の病理診断データのみではdisease-free survivalともoverall survivalとも相関性が不十分だ、との結果から、現在の病理診断によるステージングでは不十分で、免疫反応の強弱を予測因子に取り込むべきだと著者らは結論づけています。

 この結果から簡単にわかることは、強烈な化学療法によってがん治療を行うと細胞性免疫反応を担うT細胞を同時に殺してしまい、かえって患者の予後悪化をまねきかねない、ということです。

 患者の免疫力を殺してしまっては延命は期待できない、という点は極めて重要だと思います。

REFERENCES

1. Is immunology more important than histopathology for colorectal cancer prognosis? NATURE CLINICAL PRACTICE GASTROENTEROLOGY & HEPATOLOGY 4: 4-5, 2007.

2. Galon J et al.: Type, density, and location of immune cells within human colorectal tumors predict clinical outcome. Science 313: 1960?1964, 2006.