ドクター通信
072 抗CD25抗体による制御性T細胞を抑制する試み--第19回日本バイオセラピィ学会から--
06
Dec
今週も制御性T細胞(Treg)の話題が続いておりますが、現在最もホットな領域です。
11月30~12月1日に福岡で第19回日本バイオセラピィ学会が開催されました。
抗CD25抗体Basilliximab(商品名シムレクト;ヒト/マウスキメラ抗体)は腎移植における急性拒絶反応抑制薬としてノバルティスファーマから市販されておりますが、これを使用して広島大・原医研・沖田らは、臨床研究に入っています(1)。
この研究では、LAKあるいはTILとの併用において、Treg(CD4+CD25++)を抑制し、活性化T細胞(CD4+CD25+)を抑制しない用量探索、安全性、有効性検討を目的としています。
・T細胞抑制率の結果は、
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Basilliximab Target T cell Day 1 Day 7 Day 14 (% down)
----------------------------------------------------------------- 0.01 g/kg CD4+CD25++ 95 80 21
CD4+CD25+ 60 38 12
0.005mg/kg CD4+CD25++ ND 56 41
CD4+CD25+ ND 31 13
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でした。
抗CD25抗体はTregを95%減少させる用量でCD4+CD25+(活性化T細胞が含まれている分画)も60%抑制していますが、1週後では、Tregは80%と減少が持続、しかしCD4+CD25+は抑制が38%まで回復しています。2週後では両方とも回復しています。
この結果から、用量は初回0.01mg/kg、2回目以降0.005mg/kgが適当と推察され、また活性化リンパ球治療は抗体投与1週後以降が妥当と設定しています。これらの用量では副作用は見られなかったそうです。
しかし、臨床効果は、全9例(大腸癌7、食道癌2)で、画像上の有効例は無く、大腸癌肺転移例でCEAの低下が認められただけでした。
また、同じく、広島大・原医研・岡脇らによりますと(2)、癌性胸/腹水に対し、胸/腹水除去後、抗CD25抗体前投与、8日後OK-432局所投与したところ(抗CD25抗体6例に0.01mg/kg、2例に0.005mg/kg投与した)、両用量とも1~3日後にCD4+CD25+およびCD4+CD25++(Treg)とも強く抑制され、これらの抑制は4~5日後には回復したと報告されております。
その結果、癌性胸水3例、腹水6例で、局所制御効果は、著効1例、有効5例、無効2例となっています。しかし、この場合は、OK-432の効果が強いことが判っている為、どの程度、抗CD25抗体投与が貢献しているかは不明です。
抗CD25抗体Basilliximabはヒト/マウスキメラ抗体ですので、長期間繰り返し使用するには難点があります。今後は、これを完全ヒト抗体型に変換するか、抗CD25抗体以外のTreg特異的抗体の探索へと、方向性が変化してくると思われます。
また、反復して抗CD25抗体を使用した場合には、自己免疫疾患の発生があり得ることも念頭においておかねばなりません。そのため、今後も慎重な検討が行われていくと考えられます。
REFERENCES
1. 沖田理貴、檜原 淳 他:低用量抗CD25抗体によるregulatory T細胞制御の臨床研究、第19回日本バイオセラピィ学会、2006.11.30、福岡
2. 岡脇 誠、檜原 淳 他:癌性胸/腹水局所免疫療法における低用量抗CD25抗体投与の解析、第19回日本バイオセラピィ学会、2006.11.30、福岡








