ドクター通信

071 測定してほしい T cell marker--特にTregについて

30

Nov

先週のドクター通信 from セルメディシン No.70では制御性T細胞(Treg)は細胞表面結合型のTGF-betaでNK細胞を抑制することをお知らせしましたが、このがん免疫反応を強く抑制するTregが、臨床で種々の処置後にどう変化するかは、ぜひ知りたいところと思います。

 特に、CD4+CD25+(high)はTregである(典型的なFoxp3+を発現するTregと一致する)ということが判っております(1, 2)。 最新の情報では、TregはIL-7 receptorであるCD127の発現が減少しており(3)、CD4+CD25+CD127-/lowのリンパ球は強い抑制活性を示します(実際上はCD4+CD127-/lowのリンパ球の割合の測定のみでも、Tregの割合が測定できるとのことです)。

 したがって、がん免疫療法において、測定してほしい末梢血中のT cell markerは、リンパ球総数はもちろんですが、その中では、T細胞、ヘルパーT細胞(のTh1/Th2比)、キラーT細胞群、制御性T細胞、すなわち、CD3+、CD4+(この中のTh1とTh2が産生するサイトカイン比)、CD8+、CD25+、CD127(-/low)のリンパ球の割合となります。

 また、NK細胞はT細胞ではありませんが、末梢血リンパ球中でCD56+の割合で測定できます。

 新しいCD3+CD4+CD25+CD127(-/low)の分画の測定は、(株)エスアールエル 細胞性免疫課(ダイヤルイン:0426-48-4085、FAX:0426-48-3776、担当:高井健治氏、価格未定)で引き受けていただけるとのことです。

 なお、Tregはcyclophosphamideに高感受性ですが(2)、おそらく、飲み薬であるtemozolomideに対しても同じだろうと思います(4)。これらの抗がん剤を低用量でうまく使えば、Tregの増加を抑えつつもヘルパーT細胞・キラーT細胞の増加を抑制せずに、対がん細胞性免疫反応を亢進させることができるはずと理論的には考えられます。


REFERENCES

1. Miller AM, Lundberg K, Ozenci V, Banham AH, Hellstrom M, Egevad L, Pisa P.
CD4+CD25high T Cells Are Enriched in the Tumor and Peripheral Blood of Prostate Cancer Patients.
J Immunol. 2006 Nov 15;177(10):7398-405

2.Brode S, Raine T, Zaccone P, Cooke A.
Cyclophosphamide-Induced Type-1 Diabetes in the NOD Mouse Is Associated with a Reduction of CD4+CD25+Foxp3+ Regulatory T Cells.
J Immunol. 2006 Nov 15;177(10):6603-12

3. Liu W, Putnam AL, Xu-Yu Z, Szot GL, Lee MR, Zhu S, Gottlieb PA, Kapranov P, Gingeras TR, Fazekas de St Groth B, Clayberger C, Soper DM, Ziegler SF, Bluestone JA.
CD127 expression inversely correlates with FoxP3 and suppressive function of human CD4+ T reg cells.
J Exp Med. 2006 Jul 10;203(7):1701-11. Epub 2006 Jul 3.

4. Su YB, et al.
Selective CD4+ lymphopenia in melanoma patients treated with temozolomide: a toxicity with therapeutic implications.
J Clin Oncol. 2004;22(4):610-6.