ドクター通信
066 第44回日本癌治療学会から-その1-がん免疫療法のリスク・ベネフィット
24
Oct
先週10月18-20日に第44回日本癌治療学会が東京で開催されました。その中のシンポジウムの一つ「免疫治療-BCG療法とミニ移植の接点」からの話題です。
医学界において評価が確立しているがん免疫療法が非常に少ないのが現状ですが、国内では、固形腫瘍に対し骨髄を含む他者血液細胞を移植するミニ移植法が、国立がんセンターを中心に臨床サイドでは大学病院等でかなり試みられています。
平家ら(国立がんセンター)は、腎癌に対しミニ移植が奏効した2症例では、がん抗原ペプチドの一種であるWT1に特異的に反応するCTL細胞数が、ミニ移植に起因するGVHD(graft versus host disease)発症状態と並行して増減を繰り返し、しかもGVHD症状が強いときにCTL数の増加と腫瘍の縮小が見られた、と報告しました。まさにGVHDこそが効果要因だというわけです。
ミニ移植では、患者の1/3がGVHD関連症状により落命するといわれており、強烈な副作用を伴う化学療法以上にリスク・ベネフィットは近接しているといわざるを得ません。
一方、表在性膀胱癌に対するBCG生菌の膀胱内注入療法では、奏効率が80%以上で有害事象が20%以下と、すでに確立された免疫療法(保険診療対象)になっています。
河合ら(筑波大)によれば、BCG膀注2回目から尿中にIL-2、IFNgが急増し、その後も膀胱のがん組織内および粘膜層内にBCG菌が長期間(~2年)存在し続けるとのことです。すなわち、生菌が膀胱内の組織中にいてもほとんどリスクがない状態が長期間続くため、リスク・ベネフィットは大きく乖離していて好ましいというわけです。
開発途上の各種のがん免疫療法は、このようなBCG膀注療法レベルのリスク・ベネフィットを目指すべきと思います。
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* 第44回日本癌治療学会から-その2-脳腫瘍に対する自家がんワクチンの奏効率
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今回の日本癌治療学会では、筑波大・坪井らにより、脳腫瘍中で悪性度が最も高い膠芽腫に対し自家がんワクチン療法を施行したパイロットスタディについて発表されました(OS130-6 膠芽腫に対するホルマリン固定自家腫瘍ワクチン療法)。
対象は12例(抄録記載の11例よりも増えていました)で、best responseは、CR 1例、PR 2例、SD 2例、PD 7例です。奏効率はCR+PRでは25%、CR+PR+SDでは42%となり、膠芽腫では非常に高い奏効率と評価できると思います。
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* 第44回日本癌治療学会から-その3-末期がんに対する自家がんワクチン療法が奏効した2例
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肺癌、胆道癌で、手術・放射線療法とも姑息的となり根治療法が見込めない末期症例に対し自家がんワクチン療法を施行し奏効した2例について、尾道総合病院・倉西らによる発表がありました(OS149-2 Long lasting reduction of tumor markers in advanced lung and bile duct carcinoma patients treated with autologous formalin-fixed tumor vaccine)。どちらの症例も化学療法を併用していないため、自家がんワクチンによる貢献が明瞭に認められています。
特に胸水混濁していた肺癌(class V adenocarcinoma)症例では、術後の自家がんワクチン療法(化学療法忌避のため単独治療)で、約1年間に渡る腫瘍マーカーの連続的減少が認められています。
この効果にセッションの座長が驚き、ぜひきっちりとしたスタディを行って、有効性を確認した治療法として育成、普及させるべきだとの助言がありました。








