ドクター通信
064 ナノテクによる抗がん剤製剤-日本癌学会の話題から
03
Oct
先週、第65回日本癌学会学術総会が横浜で開催されましたが、その中の大きな話題の一つがナノテクノロジーの応用でした。
シンポジウム「癌治療におけるナノテクノロジー」で紹介された全体のキーポイントは、抗がん剤や抗原遺伝子DNAをナノメートルサイズのミセルを形成する高分子に内包して、それぞれ体内のがん組織や樹状細胞に特異的に導入させようというものです。
ナノミセル形成のためのキャリアー高分子に様々な工夫を施し、細胞内にとりこまれたナノミセルがエンドソーム内で薬剤を放出するようにpH応答性を持たせたり、-S-S-結合が細胞内でグルタチオンにより解離されたときに目的分子が放出されるようにしたり、外部からの光を利用して分子反応を励起したりする新技術が紹介されておりました。
In vivoで適用されたナノミセル型抗がん剤による作用については、このシンポジウムでも、またポスター発表でも、確かに体内の薬物動態が改善され、腫瘍局所への集積度が上がるデータが見られ、投与薬物量低減による副作用低減効果が顕著でした。例えば、パクリタキセルをPEG化アスパラギン酸ポリマーでナノミセル化した製剤では、神経障害が軽減されており、1 shotについて150mg/m^2・dayが推奨されていました(1)。
しかし、やはり一般的な抗がん剤(すなわち細胞毒)の限界である造血抑制作用が残っており、好中球減少が用量制限因子になっておりました。そのため、副作用が出ない高用量を用いても、いまだにPRは得られてもCRは得がたいという印象はどうしても免れません。
そこで筆者が感じたのは、ナノミセル型抗がん剤は血中濃度を低減できるため、あえてPR程度でよいとする低用量を選べば、リンパ球増殖を阻害しない投与量に抑えることも可能なはずです。それにより従来は困難であったがん免疫療法との同時併用が可能となるのではないかと思われます。
今後、がんの化学療法と免疫療法を組み合わせる集学的治療法の検討が一斉に始まるに違いありません。
11月4日に開催される第3回がんワクチン療法研究会でも、結果的に化学療法と自家がんワクチン療法を組み合わせた集学的治療法となってしまった乳癌症例で、全身の骨転移が激減した症例の報告がある予定です。
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「第3回がんワクチン療法研究会」
開催日時:2006年11月4日(土)14:00-18:00(懇親会18:00-19:30)
開催場所:東京・大手町サンケイプラザ 304号室
地下鉄・大手町駅A4・E1出口直結
参 加:100名まで、先着申込順(会議室定員により制限があります)
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REFERENCES
1. 濱口哲弥、ポリマーミセル抗がん剤の前臨床及び臨床試験、第65回日本癌学会学術総会記事、p.221、S11-3、2006.








