ドクター通信
058 亜鉛と免疫
10
Aug
亜鉛は、ヒトの健康と栄養維持に重要な必須栄養素で、様々な生体の反応に関わっています。亜鉛は、すべての細胞に存在しているので、肉・魚介・種実・穀類など、多くの食品に含まれています。
亜鉛の必要量は微量でよいのですが、亜鉛が不足すると、味覚障害や食欲不振、小児で不足すると、成長障害、性腺発育障害がみられます。重篤な亜鉛欠乏では、免疫機能低下、皮疹、創傷治癒障害、慢性下痢、男性機能不全、貧血、催奇形性、精神障害がみられます。
亜鉛が不足する原因は様々です。人口の高齢化,亜鉛キレート作用(ミネラルを包み込む作用)の強いポリリン酸やフィチン酸が繁用されている加工食品への増加,偏食,ダイエットなどが考えられます(1)。
最も多い原因は薬剤性と食事性の亜鉛欠乏症とも言われております。様々な現象と亜鉛不足は関係があることが分かっているのですが、その詳細なメカニズムは不明な点があります。しかし今回、理化学研究所 免疫アレルギー科学総合研究センター(平野俊夫研究グループ、2,3)は、亜鉛が免疫反応に深く関与していることを発見しました。
細胞内の亜鉛濃度を測定し、免疫応答の中枢 的な細胞である樹状細胞が、リポポリサッカライド(LPS)刺激を受け、Toll-like receptor 4を通じて活性化する過程で、細胞内の亜鉛濃度が減少すること、亜鉛のキレート剤がLPS様の作用を示すことから、異物抗原を提示するという重要なステップで、亜鉛がシグナル因子として働いていることを示しています。
亜鉛不足などが細菌やウイルス等の感染防御やがん細胞の駆逐、アレルギー応答や自己免疫疾患の発症に関わっている可能性があり、微量元素亜鉛について、新たな世界が広がったと言えます。
REFERENCES
1.国立健康・栄養研究所 「健康食品の有効性安全性情報」
http://hfnet.nih.go.jp/
2.理研記者発表
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2006/060807/detail.html
3.Hidemitsu Kitamura, H. et al., Toll-like receptor?mediated regulation of zinc homeostasis influences dendritic cell function.
Nature Immunology, Published online: 6 August 2006; doi:10.1038/ni1373
http://www.nature.com/ni/journal/vaop/ncurrent/abs/ni1373.html








