ドクター通信

049 乳癌のCTC検査に関する臨床研究を中断・延期

30

May

先にドクター通信 from セルメディシンNo. 39(2006.03.24)でお知らせしましたJA尾道総合病院(広島県尾道市)の乳癌に関する臨床研究は、院外に依頼していたCTC(circulating tumor cells)検査の感度の問題から、このほど中断、延期となりました。

 これまでの10例の検査では、いずれも健常人のレベルを超える明瞭なCTC数は検出されませんでした。10例は大部分が原発性乳癌でしたが、中には遠隔転移が現存している症例、腫瘍マーカー上昇中の症例もありました。しかしそれらの症例でさえ0~1個/7.5mLでした。

 この結果から、現段階では既報の2つの論文(1, 2)に比べて感度が不十分だと考えられます。実際、本稿の筆者が、今年のアメリカ癌学会の会場で直接Pachmann博士に会って確認したところ、原発性乳癌であってもCTCは高い確率で検出できる、しかし血中CTCの濃縮方法によっては検出感度が逆に下がる場合があり非常に注意を要する、自分のラボではCTCの選択的な濃縮操作は行っていない、とのことでした。

 検出感度が少なくともMengらの論文のレベルに達しなければ、CTC検査の意義は大きいとはいえません。そのため、乳癌のCTC検査に関する臨床研究は中断、延期となったものです。

REFERENCES

1. Meng S, et al., Circulating tumor cells in patients with breast cancer dormancy. Clin Cancer Res 10:8152-8162, 2004、
 術後7年以上再発していない乳癌患者のうち、36%で血中に乳癌細胞を検出。

2. Pachmann K, Longtime recirculating tumor cells in breast cancer patients. Clin Cancer Res 11(Aug. 1):5657-5658, 2005、
 92%の乳癌・肺癌術後症例の血中に上皮性細胞を検出。