ドクター通信

042 2006年アメリカ癌学会の話題から-2-

21

Apr

アメリカ癌学会(AACR2006、16000人を越える参加者が集い、発表演題数は6000を越えます)がこの4月1-5日にWashinton DCで開催され見聞してきました。

 以下、先週の続きです。

(3)がん免疫療法分野では免疫抑制問題がホット

 免疫療法に関する話題の中で指摘され、議論されていたのは免疫抑制の問題でした。過去に行なわれた基礎研究、臨床研究の結果から免疫療法が期待したほどの成果を出していない、という反省から、患者の免疫状態の悪化、抑制の解除法が問題と考えられています。

 そうした現象は免疫を抑制する細胞群(Treg, ミエロイドサプレッサー、抑制性DC, 抑制性マクロファージなど)や抑制因子(TGF-β, IL-10, COX-2, Indoleamine 2, 3-Dioxygenase:IDOなど)が腫瘍形成によって誘導されているからと考えられています。

 とくに免疫関係の発表全体のうち、約7%がTregに関する発表でした。
Tregを逆に抑える方法が免疫療法の有効性向上に期待できると考えられております。

 例えば、多発性骨髄腫への適用が期待されているlenalidomide(Revlimid、サリドマイドのアナログ)は、元のサリドマイドと違い、強くTregの誘導を阻害することが報告されていました。この薬の効果の作用機構に免疫系の活性化があったことと矛盾しないと考えられ、さらなる適用方法の改善も期待されます。

 抗体医薬によるTregの抑制法とワクチン療法の併用など具体的な検討も早くも試みられておりました。総じて細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導だけに固執した免疫療法では、がん治療には力不足であるとの認識が広がっており、今後は様々な治療法(抗体療法、免疫抑制解除療法、ワクチン療法、放射線療法、場合によっては化学療法までも)を適切に組み合わせることが必要であると考えられます。