ドクター通信
041 2006年アメリカ癌学会の話題から-1-
12
Apr
アメリカ癌学会(AACR2006)がこの4月1-5日にWashinton DCで開催され見聞してきました。以下、その中から拾い上げた話題です。
(1)今回の全体的特徴
本来は、癌に関する基礎研究主体の学会ですが、臨床関係の発表が大幅に増えていました。Clinical Plenary Session-- "Breakthroughs in Clinical Research"を設定する等、AACRとしても昨年以上に注力していました。
新規発がんメカニズムを解明しても、新規抗がん剤候補を発見しても(がん免疫療法でももちろんですが)、結局は臨床効果につながらないと意味がない、という点に全体として大きく傾いています。
特に、抗体医薬の発表が圧倒的に多いのが印象的でした。腫瘍血管新生阻害剤が流行のピークにある感じです。この全体傾向からすれば、今後、ASCOの影響力がどんどん向上すると推定され、AACRで発表された新規技術がすぐにASCOで評価されるということになる時代に入ったと思います。
なお、自家がんワクチンの臨床効果に関するポスター発表(尾道総合病院・倉西文仁先生)は、4時間の間、とぎれなく見学者がおり、ホルマリン固定組織がワクチン材料として使用できるということで好評でした。広いポスター・展示会場(目測で100m x 300mはある)の最果てのコーナーでしたが、わざわざ探してくる人もおりました。
(2)交流電場でがん治療
イスラエルのベンチャー企業からで、100-300KHz、1-2V/cmのAlternating electric fields (TTFields)を連続的にかけるだけで、(3-4ヶ月以上はかかりますが)再発GBMが治るとの発表がありました。10例中CR1, PR1, MR2, SD5 (Median OS 57+ weeksで6例がまだ生存中だそうです)。Time-to-progressionの中央値は26weeksで、同一地域の病院からランダムに選んだ対照群の13weeksに比べて明らかに延長していました。
米国で6月からPhase IIIを始める予定とのことでした(Sloan-Kettering, Dana Farber等の一流病院が参加すると自慢してました)。
TTFieldsは分裂細胞のcytokinesisをストップ、細胞死を誘導するもので、何のがん種でも良く、副作用はないといいます(この背景となる論文は → Cancer Res. 64:3238-3295, 2004)。ただし、途中でやめるとそこからがん細胞が増殖を再開してきます。また、3-4ヶ月以上はかかるため、slow growing tumorでないと適用できないそうです。
本当の実力はどうか、注目したいと思います。








