ドクター通信

019 「IL-2+放射線治療」は鼻咽腔進行がんで大きな効果

24

Oct

 頭頸部がんは、機能保存優先のため手術による全摘不能の場合も多くなりますが、外部から腫瘍内注射がしやすい場合も多々あります。

 Utrecht Medical Centreでは、7,000 cGyの外照射治療中の腫瘍内へIL-2を直接注入し、症例がステージIII-IVであっても好成績を収めました。

 Mean disease-free survivalが1.5年しかない進行がんグループで、しかもわずか10例でありながら、厳密にマッチングして選択された歴史対照群(放射線治療のみ)に比べ、5年間のフォローアップでdisease-free survivalは63%対8%という圧倒的な差を得ています(P=0.014)。

→ Jacobs JJ, et al., Treatment of stage III-IV nasopharyngeal carcinomas by external beam irradiation and local low doses of IL-2. Cancer Immunol Immunother. 2005 Aug;54(8):792-8.

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 IL-2はリンパ球の生存・増殖に必須の因子です。したがってこの結果は、放射線照射で死にかけたがん細胞をキラーリンパ球が好んで認識・排除し、ついでに照射野外に浸潤している(と想定される)がん細胞も殺したため、と容易に想像できます。

 すなわち、「放射線照射と免疫刺激(細胞性免疫反応の)は相乗的効果を現す」と、十分期待できます。

 それならば、もし、わずか1gの摘出がん組織があれば作製可能な「自家がんワクチン」を、放射線照射の前(あるいは分割照射の最中)に投与し(可能ならIL-2も追加し)たらどうでしょうか。

 何も頭頸部がんにこだわる必要はありません。Strongly suggestive evidences は既に我々の手元にあります。

(1)昨年の第1回がんワクチン療法研究会で、JA石橋総合病院・大塚紳先生から報告がありましたように、直径4cmにも巨大化した大腸癌リンパ節メタが、放射線+自家がんワクチンでCT画像上から消失しております。
(2)「ドクター通信fromセルメディシンNo.6-050803」でお知らせしましたように、胆道癌脳メタ症例で、自家がんワクチン+脳ガンマナイフ+自家がんワクチン追加コースで、驚くような症状改善が起こってます(第2回がんワクチン療法研究会で発表予定)。
(3)基礎研究論文もあります:Ishikawa, E., Tsuboi, K., Saijo, K., Takano, S., and Ohno, T.: X-irradiation to human malignant glioma cells enhances the cytotoxicity of autologous killer lymphocytes under specific conditions. Int. J. Radiation Oncology Biol. Phys. 59: 1505-1512, 2004.

 術後、放射線治療がある場合、自家がんワクチン療法の同時併用は大きなチャンスだと思います。化学療法に入る前に(あるいは、化学療法の休薬期間が十分とれる間に)ぜひご検討下さい。

 また、この点は、臨床で実施できる丁度良い博士号取得研究テーマとなります。