ドクター通信

013 前癌状態から発癌するか否かはトルイジンブルーで染めればわかる

12

Sep

口腔癌は、白板症という前癌症状があることがよく知られています(→http://pinocchio.dent.osaka-u.ac.jp/ojima/kin-en/leuko.html)
その病変が本当にガン化するかどうか、100症例について8年間のlongitudinal follow-up studyを行った結果がでました。

→ Zhang, L., et al., Toluidine blue staining identifies high-risk primary oral premalignant lesions with poor outcome. Cancer Res., 65: 8017-8021, 2005.

方法は簡単で、biopsyサンプルを1%トルイジンブルーで染色、1%酢酸で洗浄して染まっている割合をindex化し、ガン化との関係を追うというものです。

その結果、トルイジンブルー陽性箇所の発癌リスクは、陰性箇所の6倍以上もありました(P=0.0008)。5年で約50%が発癌しています。しかもこの結果は、biopsyサンプルのマイクロサテライトDNAのloss of heterozygosity (LOH)分析のうち、high risk patternとの相関性も高いものでした(P<0.0001)。

注目すべき点は、low-risk patternも含めると、トルイジンブルー陽性ならば89%で、陰性であっても73%でLOHがあることです。前癌状態の組織でこれだけ高い遺伝子変異があるならば、"何らかのがん抗原をすでに持っている"と十分推定できます。

つまり、"前癌組織は「自家がんワクチン」療法のターゲットになる"ということになります。

前癌組織を切除後なお発ガンの不安を抱えている患者様がおられましたら、トライしてみませんか。リスクを抱えた患者様ならば、「自家がんワクチン療法」の受診を納得されるはずです。発ガンを予防することこそ最高の医療です。