ドクター通信
007 "Determinant spreadingという現象"により未知抗原に対する細胞性免疫反応を誘導できる
10
Aug
まだ動物実験レベルとはいえ、未知のがん抗原を含むがん細胞(親細胞)を、既知のがん抗原タンパクワクチンで拒絶させる方法が開発されました。
はじめに親細胞に既知のがん抗原を発現するように遺伝子操作したがん細胞(子細胞)を作製しておきます。既知のタンパク性がん抗原を未感作のマウスにワクチンとして接種したとき、感作されたマウスは当然ながらそのがん抗原を発現している子細胞を拒絶しますが、親細胞は拒絶できません。しかし、一たん子細胞を移植し拒絶させた後では、抗原不明の親細胞をも拒絶するようになったのです。
あらかじめ、親細胞と子細胞をマウスに同時に移植しておき、後から既知のがん抗原で4回感作しますと、20%のマウスがtumor-freeになり治癒します。また、親細胞の肺転移も強く抑制されることから、体内の免疫細胞によるがん抗原認識が既知抗原から未知抗原にまで広がって行くdeterminant spreadingという現象が起こっていることが示されました。
この研究は、抗原性が知られていないがん細胞に、モデルとなる既知のがん抗原(サロゲート抗原)を発現するよう遺伝子操作してやれば、サロゲート抗原がんワクチンで元のがんを治せる可能性があることを示唆しています。
(注: もちろん、もともと未知であっても、確実にその未知抗原が入っているワクチンを作製し接種してやれば、面倒な遺伝子操作をしなくても、元のがんを治せる可能性が高いことはいうまでもありません。)
文献 → Lewis JD, et al., Surrogate tumor antigen vaccination induces tumor-specific immunity and the rejection of spontaneous metastases. Cancer Res. 65(7):2938-2946, 2005.








